Webサイトの表示速度が検索順位に与える影響は年々増加し、特にGoogleのCore Web Vitalsの導入以降、サイトスピードの重要性がさらに高まっています。多くのWebサイト運営者が表示速度の改善を目指してPageSpeed Insightsを活用していますが、実際に使ってみると「なぜかエラーが出てしまう」という声をよく聞きます。
PageSpeed Insightsでエラーが発生すると、せっかく改善したサイトのスコアが確認できなかったり、問題の原因が特定できずに困ってしまいますよね。実際に私たちLanding Hubでも、多くのお客様からPageSpeed Insightsのエラーについてご相談をいただきます。
そこで今回は、PageSpeed Insightsでエラーが発生する具体的な原因と、それぞれの対処法について詳しく解説していきます。この記事を読めば、エラーの原因を正しく特定し、効果的な解決策を実施できるようになります。
目次
PageSpeed Insightsとは?基本的な仕組みを理解しよう
PageSpeed Insightsは、Googleが提供するWebページの表示速度を測定・分析するツールです。このツールは、内部的にLighthouseという計測エンジンを使用して、実際のユーザーがWebページを閲覧する際の体験を測定しています。
測定の流れは以下の通りです:
- 指定されたURLにアクセスを試行
- ページの読み込みプロセスを分析
- Core Web Vitals(LCP、FID、CLS)などの指標を計測
- 結果を100点満点でスコア化
- 改善提案を表示
しかし、この測定プロセスの中で何らかの問題が発生すると、エラーメッセージが表示されてしまいます。エラーの種類によって原因と対処法が異なるため、まずはエラーの種類を正しく把握することが重要です。
PageSpeed Insightsでよく発生するエラーの種類
PageSpeed Insightsでエラーが発生する場合、主に以下のようなメッセージが表示されます。それぞれの特徴と発生しやすい状況を見ていきましょう。
1. 「リクエストしたページをLighthouseで正確に読み込めません」エラー
このエラーは最も頻繁に発生するもので、以下のような詳細メッセージが表示されることがあります:
- 「FAILED_DOCUMENT_REQUEST」
- 「net::ERR_TIMED_OUT」
- 「サーバーの応答時間が長すぎます」
これらのエラーは、主にサーバー側の問題やアクセス制限が原因で発生します。
2. 「ページにコンテンツが描画されませんでした」エラー
このエラーは以下のようなメッセージで表示されます:
- 「Error! ページにコンテンツが描画されませんでした」
- 「読み込みの際にブラウザウィンドウをフォアグラウンドのままにして、もう一度お試しください(NO_FCP)」
これらは主にCSS設定やJavaScriptの問題が原因で発生します。
3. 「403応答を受け取りました」エラー
「PageSpeed Insightsは、サーバーから403応答を受け取りました」というメッセージは、アクセス制限が設定されている場合に発生します。
4. 「LCP(Largest Contentful Paint)エラー」
「LCPに該当するコンテンツがページに表示されていません(NO_LCP)」というエラーは、メインコンテンツの読み込みに問題がある場合に発生します。
エラーの原因別対処法を詳しく解説
それぞれのエラーについて、具体的な原因と対処法を詳しく見ていきましょう。実際にエラーが発生している場合は、以下の順番で確認することをおすすめします。
原因1: アクセス制限によるエラー
最も一般的なエラーの原因は、サイトにアクセス制限が設定されていることです。PageSpeed Insightsは外部からサイトにアクセスして測定を行うため、制限がかかっていると正常に動作しません。
具体的な制限の例:
- WordPressのメンテナンスモード
- Basic認証(.htaccess)
- IP制限
- Coming Soonページ
- 会員制サイトの設定
対処法:
- WordPressのメンテナンスモード解除functions.phpに以下のようなコードが記述されていないか確認してください:
if ( !is_user_logged_in() ) { wp_die('ただいまメンテナンス中です。'); }
このようなコードがある場合は、一時的にコメントアウトしてください。 - Basic認証の一時解除.htaccessファイルに以下のような記述がある場合は、一時的に無効化してください:
AuthType Basic AuthName "Restricted Area" AuthUserFile /path/to/.htpasswd Require valid-user
- プラグインによる制限の確認以下のようなプラグインが有効になっていないか確認してください:
- MW WP Form
- WP Maintenance Mode
- Coming Soon Page
原因2: CSS設定によるopacity: 0エラー
最近増えているエラーの原因として、CSSのopacity: 0設定があります。フェードイン効果などでよく使われる設定ですが、PageSpeed Insightsが「コンテンツが描画されていない」と判断してしまうことがあります。
問題となるCSS例:
body {
animation: fadeIn 1.2s ease 0s 1 normal;
-webkit-animation: fadeIn 1.2s ease 0s 1 normal;
}
@keyframes fadeIn {
0% { opacity: 0; }
100% { opacity: 1; }
}
対処法:
- opacity: 0を0.01に変更
@keyframes fadeIn { 0% { opacity: 0.01; } 100% { opacity: 1; } }
- visibility: hiddenを併用
@keyframes fadeIn { 0% { opacity: 0; visibility: hidden; } 1% { visibility: visible; } 100% { opacity: 1; visibility: visible; } }
- transform: translateY()を使用
@keyframes slideIn { 0% { transform: translateY(30px); opacity: 0.1; } 100% { transform: translateY(0); opacity: 1; } }
原因3: サーバー設定・レスポンス時間の問題
サーバーの設定や性能が原因でエラーが発生することもあります。特に共用サーバーを使用している場合や、サーバーの負荷が高い場合に発生しやすいです。
よくある問題:
- サーバーレスポンス時間の遅延
- 同時接続数の制限
- リソース使用量の制限
- SSL証明書の設定不備
対処法:
- サーバーレスポンス時間の確認以下のコマンドでサーバーレスポンス時間を確認できます:
curl -o /dev/null -s -w "%{time_total}\n" https://yoursite.com
- キャッシュの有効化WordPressの場合、以下のようなキャッシュプラグインを使用してください:
- W3 Total Cache
- WP Super Cache
- WP Rocket
- CDNの導入CloudflareやAWS CloudFrontなどのCDNを導入することで、レスポンス時間を大幅に改善できます。
原因4: JavaScriptエラー・レンダリング問題
JavaScriptのエラーやレンダリングの問題も、PageSpeed Insightsでエラーが発生する原因となります。
よくある問題:
- JavaScript実行時のエラー
- レンダリングをブロックするスクリプト
- 非同期読み込みの設定ミス
- 第三者スクリプトの問題
対処法:
- JavaScriptエラーの確認ブラウザのデベロッパーツールでコンソールエラーを確認してください。
- スクリプトの非同期読み込み
<script async src="script.js"></script> <script defer src="script.js"></script>
- 第三者スクリプトの最適化Google Tag Manager、Google Analytics、SNSボタンなどの第三者スクリプトを最適化してください。
エラー発生時の効果的な診断手順
PageSpeed Insightsでエラーが発生した場合は、以下の順番で診断を行うことをおすすめします。体系的に確認することで、効率的に問題を特定できます。
ステップ1: 基本的な確認
- URLが正しく入力されているか確認
- サイトが正常に表示されるか確認
- ブラウザを変えて測定を試す
- 時間を置いて再度測定を試す
ステップ2: アクセス制限の確認
- メンテナンスモードの確認
- Basic認証の確認
- IP制限の確認
- プラグインによる制限の確認
ステップ3: CSS・JavaScriptの確認
- opacity: 0設定の確認
- JavaScriptエラーの確認
- レンダリングブロックの確認
- 第三者スクリプトの確認
ステップ4: サーバー設定の確認
- サーバーレスポンス時間の確認
- SSL証明書の確認
- リソース使用量の確認
- キャッシュ設定の確認
WordPressサイトでのエラー対処法
WordPressサイトでPageSpeed Insightsのエラーが発生する場合、以下のような特有の原因と対処法があります。
プラグインが原因の場合
WordPressでは、プラグインが原因でエラーが発生することがよくあります。以下の手順で確認してください:
- プラグインの一時停止すべてのプラグインを一時停止して、エラーが解消するか確認してください。
- プラグインの個別確認プラグインを一つずつ有効化して、どのプラグインが原因かを特定してください。
- 問題のあるプラグインの対処原因となるプラグインを特定できた場合は、以下の対処を行ってください:
- プラグインの設定を見直す
- 代替プラグインを検討する
- プラグインのサポートに問い合わせる
テーマが原因の場合
WordPressテーマが原因でエラーが発生することもあります:
- デフォルトテーマでのテストTwenty Twenty-Oneなどのデフォルトテーマに一時的に変更して、エラーが解消するか確認してください。
- テーマの最適化テーマが原因の場合は、以下の最適化を行ってください:
- CSSの最適化
- JavaScriptの最適化
- 画像の最適化
- 不要なコードの削除
サーバー別のエラー対処法
使用しているサーバーによって、エラーの原因と対処法が異なる場合があります。主要なサーバーについて、それぞれの対処法を見ていきましょう。
さくらサーバーでのエラー
さくらサーバーでは、以下のような問題が発生することがあります:
- 同時接続数の制限
- CGI実行時間の制限
- メモリ使用量の制限
対処法:
- プランのアップグレードスタンダードプランからプレミアムプランへのアップグレードを検討してください。
- 同時接続数の最適化キャッシュプラグインを使用して、同時接続数を減らしてください。
- データベースの最適化不要なデータを削除して、データベースを最適化してください。
エックスサーバーでのエラー
エックスサーバーでは、以下のような設定が効果的です:
- mod_pagespeedの有効化サーバーパネルからmod_pagespeedを有効化してください。
- PHP高速化設定OPcacheやAPCuを有効化してください。
- ブラウザキャッシュの設定.htaccessファイルでブラウザキャッシュを設定してください。
エラー解決後の表示速度改善方法
PageSpeed Insightsのエラーが解決できたら、次は表示速度の改善に取り組みましょう。実際に、私たちLanding Hubでは、以下のような改善方法をお客様に提案しています。
画像の最適化
画像は表示速度に大きく影響する要素です。以下の最適化を行ってください:
- ファイルサイズの削減
- TinyPNGやImageOptimなどのツールを使用
- 適切な解像度での保存
- 不要なメタデータの削除
- 次世代フォーマットの採用
- WebP形式への変換
- AVIF形式の検討
- フォールバック対応
- 遅延読み込み(Lazy Loading)
- スクロールに応じた画像読み込み
- loading=”lazy”属性の使用
- Intersection Observer APIの活用
CSS・JavaScriptの最適化
CSS・JavaScriptの最適化も重要です:
- ファイルの圧縮
- Minifyによる余分な空白・改行の除去
- Gzip圧縮の有効化
- ファイルの結合
- Critical CSSの実装
- Above the fold CSS の分離
- インライン CSS の活用
- 非同期読み込みの実装
- JavaScriptの最適化
- defer・async属性の活用
- コード分割の実装
- Tree Shakingの実施
サーバー設定の最適化
サーバー設定も表示速度に大きく影響します:
- キャッシュの最適化
- ブラウザキャッシュの設定
- サーバーサイドキャッシュ
- CDNキャッシュの活用
- HTTPSの最適化
- HTTP/2の有効化
- SSL証明書の最適化
- HSTS設定の実装
- データベースの最適化
- 不要なデータの削除
- インデックスの最適化
- クエリの最適化
プロが実践するエラー予防方法
PageSpeed Insightsでエラーが発生しないよう、日頃から以下のような予防策を実施することをおすすめします。
定期的な監視
- 自動化ツールの活用以下のようなツールを使用して、定期的にサイトの状態を監視してください:
- Google Search Console
- GTmetrix
- Pingdom
- アラート設定サイトの表示速度が低下した場合に、自動的にアラートが送信されるよう設定してください。
開発環境での事前チェック
- ローカル環境での確認本番環境にデプロイする前に、ローカル環境でLighthouseを実行してください。
- ステージング環境での確認ステージング環境でPageSpeed Insightsを実行して、エラーがないことを確認してください。
コードの品質管理
- コードレビューの実施パフォーマンスに影響する可能性のあるコードについては、必ずレビューを実施してください。
- バージョン管理Gitなどのバージョン管理システムを使用して、問題が発生した場合に簡単に戻せるようにしてください。
専門的な解決策とプロへの相談
これまで紹介した対処法を試しても解決できない場合や、より高度な最適化が必要な場合は、専門家への相談を検討してください。
こんな場合は専門家に相談を
- エラーの原因が特定できない
- 大規模なサイトでの最適化が必要
- システム全体の再構築が必要
- 継続的な監視・改善が必要
私たちLanding Hubでは、PageSpeed Insightsのエラー解決から表示速度の改善まで、トータルでサポートしています。お客様のサイトの状況に応じて最適な解決策を提案し、長期的な改善計画も立案いたします。
Landing Hubのサポート内容
- エラーの原因特定と解決
- 表示速度の包括的な改善
- 継続的な監視とメンテナンス
- 最新技術への対応
- SEO効果の最大化
サイトの表示速度は、ユーザーエクスペリエンスやSEO効果に直結する重要な要素です。一時的な解決ではなく、長期的な改善を目指すことが重要です。
まとめ:PageSpeed Insightsエラーの完全解決ガイド
PageSpeed Insightsでエラーが発生する原因は多岐にわたりますが、体系的にアプローチすることで必ず解決できます。この記事で紹介した対処法を参考に、以下のポイントを意識して取り組んでください。
エラー解決の重要ポイント
- エラーの種類を正確に把握する表示されるエラーメッセージを正確に読み取り、適切な対処法を選択してください。
- 基本的な確認から始めるURLの確認、アクセス制限の確認など、基本的な項目から順番に確認してください。
- 一つずつ対処する複数の対処法を同時に実施せず、一つずつ試して効果を確認してください。
- 継続的な監視を行うエラーが解決した後も、定期的に監視して再発防止に努めてください。
PageSpeed Insightsのエラーは、適切な知識と手順で必ず解決できます。しかし、サイトの規模や複雑さによっては、専門家のサポートが必要な場合もあります。
もし、この記事の内容を試しても解決できない場合や、より高度な最適化をお求めの場合は、ぜひLanding Hubにご相談ください。豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、お客様のサイトに最適な解決策を提案いたします。
サイトの表示速度改善は、ユーザビリティの向上だけでなく、SEO効果の向上にも直結します。適切な対処でPageSpeed Insightsのエラーを解決し、より良いWebサイトを構築していきましょう。