ECサイトの売上が上がらない原因と対策

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売上が上がらないECサイトの現実

「ECサイトを作ったのに売上が全然上がらない…」そんな悩みを抱えているEC担当者の方は少なくありません。実際、ECサイトを開設したものの、思うような成果が出ずに頭を抱えている事業者が多いのが現実です。

でも安心してください。売上が上がらないのには必ず理由があり、その原因を正しく把握して適切な対策を講じれば、必ず改善できます。この記事では、ECサイトの売上が上がらない根本的な原因を徹底分析し、実際に効果が実証されている改善施策を包括的に解説していきます。

月商100万円以下のECサイトの90%以上が抱える共通の課題から、月商1000万円を超えるサイトが実践している高度なテクニックまで、段階的にお伝えしていきますので、ぜひ最後までお読みください。

ECサイト売上の方程式を理解しよう

まず最初に理解しておくべきなのが、ECサイトの売上を構成する要素です。これを理解せずに闇雲に施策を打っても効果は期待できません。

ECサイト売上の方程式

売上 = 訪問者数 × 購入率(CVR) × 客単価

訪問者数

サイトにアクセスした人数。集客力を表す指標で、SEO、広告、SNSなどの施策で改善可能。

購入率(CVR)

訪問者のうち購入した人の割合。サイトの使いやすさや商品の魅力度を表す重要な指標。

客単価

1人あたりの購入金額。まとめ買いやアップセル施策で向上させることができる。

実例で理解しよう

例えば、月間20,000人の訪問者がいて、購入率が2%、客単価が3,000円のECサイトの場合:

20,000人 × 2%(0.02) × 3,000円 = 1,200,000円

この方程式を理解することで、どの要素を改善すれば最も効率的に売上を上げられるかが見えてきます。

ECサイトから売上が上がらない4つの根本原因

原因①:集客不足(訪問者数が少ない)

これは最も多い原因です。どんなに素晴らしい商品を販売していても、そもそもサイトを訪れる人がいなければ売上は生まれません。特に自社ECサイトの場合、Amazon楽天のようなモールと違って、何も対策をしなければ誰にも見つけてもらえません。

よくある集客不足のパターン

  • SEO対策を全くしていない
  • 広告予算を全く確保していない
  • SNSアカウントはあるが放置状態
  • 「作れば売れる」と思い込んでいる

月商100万円以下のECサイトの場合、まず最優先で取り組むべきなのがこの集客改善です。後ほど詳しく解説しますが、Googleショッピング広告やMeta広告から始めることをおすすめします。

原因②:購入率(CVR)が低い

ある程度のアクセスはあるのに売上が上がらない場合、購入率の低さが原因の可能性が高いです。ECサイトの平均購入率は約2%と言われていますが、1%を下回っている場合は緊急で改善が必要です。

購入率が低くなる主な要因

  • サイトの表示速度が遅い
  • 商品情報が不十分で不安になる
  • 決済方法が少なくて購入を諦める
  • モバイル対応が不十分
  • 口コミやレビューがない

特に最近はスマートフォンからの購入が7割を超えているので、モバイルでの使い勝手は売上に直結します。「パソコンでは問題ないのに…」という油断は禁物です。

原因③:客単価が低い

アクセスもあり、購入もされているのに売上が伸びない場合は、客単価の低さが原因かもしれません。1回の注文で1つの商品しか買わない、安い商品しか選ばれないといった状況です。

客単価が上がらない理由

  • 関連商品の提案ができていない
  • まとめ買いのメリットがない
  • 送料無料ラインの設定が不適切
  • 商品のラインナップが偏っている

「この商品と一緒によく購入されています」のような関連商品提案や、「あと○○円で送料無料」といった工夫で、意外と簡単に客単価は上がります。

原因④:リピート率が低い

新規顧客の獲得コストは既存顧客の5倍かかると言われています。つまり、一度購入してくれたお客様にリピートしてもらうことが、安定した売上を作る最も効率的な方法なんです。

リピート率が低い原因

  • 購入後のフォローアップがない
  • メルマガやLINEでの情報発信をしていない
  • リピーター特典がない
  • 商品・サービスに感動がない

商品が届いた後の「ありがとうございました」で終わっていませんか?そこからが本当の顧客との関係構築の始まりです。継続的なコミュニケーションこそが、安定収益の基盤となります。

訪問者数を劇的に増やす集客改善施策

集客は「今すぐ効果が出る施策」と「中長期で効果が出る施策」を組み合わせることが重要です。最初は即効性のある広告から始めて、並行してSEOやSNSにも取り組んでいきましょう。

即効性重視:Web広告

Googleショッピング広告

商品画像と価格が検索結果に表示される広告形式。ECとの相性が抜群で、購買意欲の高いユーザーにリーチできます。初心者でも比較的成果が出やすいので、まずはここから始めることをおすすめします。

効果的な運用のコツ:商品データフィードの品質向上、除外キーワードの設定、入札調整の最適化

Meta広告(Facebook・Instagram)

詳細なターゲティングが可能で、商品の魅力を視覚的に訴求できます。特にライフスタイル商品やファッション系には効果的。類似オーディエンス機能を使えば、既存顧客に似たユーザーにリーチできます。

効果的な運用のコツ:魅力的なクリエイティブ制作、カスタムオーディエンス活用、コンバージョン最適化

広告予算の目安
  • • 月商目標100万円:広告費月15-30万円(ROAS 3-7倍を目標)
  • • 月商目標300万円:広告費月50-100万円(ROAS 4-6倍を目標)
  • • 月商目標1000万円:広告費月150-300万円(ROAS 4-5倍を目標)

中長期重視:SEO対策

SEOは効果が出るまで時間がかかりますが、一度軌道に乗れば継続的に質の高いアクセスを獲得できます。特に「商品名 + 通販」「商品カテゴリ + おすすめ」などのキーワードは狙い目です。

テクニカルSEO
  • • サイト表示速度の改善
  • • モバイルファースト対応
  • • 構造化データの実装
  • • XMLサイトマップ送信
コンテンツSEO
  • • 商品レビューページ
  • • 使い方・活用法記事
  • • 比較・ランキング記事
  • • よくある質問ページ
商品ページSEO
  • • 商品名の最適化
  • • メタディスクリプション
  • • Alt属性の設定
  • • 内部リンク構造

今注目:SNSマーケティング

SNSは単なる宣伝ツールではなく、ファンコミュニティを作る場所として捉えることが重要です。商品の魅力を伝えるだけでなく、ブランドストーリーや使用シーンを発信して、感情的なつながりを作りましょう。

Instagram活用法

  • 商品の使用シーンを魅力的に撮影
  • ストーリーズでリアルタイム情報発信
  • リールでトレンドに乗った動画制作
  • ショッピング機能でダイレクト誘導
  • UGC(ユーザー投稿)の積極的な活用

TikTok・YouTube活用法

  • 商品の使い方やビフォーアフター動画
  • 開封動画や商品紹介動画
  • トレンドハッシュタグの活用
  • インフルエンサーとのコラボレーション
  • ライブ配信での直接コミュニケーション
SNS運用のポイント

一貫性のあるブランドイメージを保ちながら、各SNSの特性に合わせたコンテンツを制作することが重要です。また、フォロワー数よりもエンゲージメント率を重視し、質の高いフォロワーとの関係構築を優先しましょう。

購入率(CVR)を確実に上げる改善施策

購入率の改善は、投資対効果が最も高い施策の一つです。1%のCVR改善は売上に直結するため、細かな改善の積み重ねが大きな成果を生みます。ユーザーの購入プロセスを一つずつ見直していきましょう。

モバイル最適化は絶対必須

レスポンシブデザインの徹底

  • スマートフォンでの表示確認を必須とする
  • タップしやすいボタンサイズ(最低44px)
  • 読みやすいフォントサイズ(最低16px)
  • スクロール方向を意識したレイアウト
  • 横スクロールの排除

表示速度の改善

  • 画像の最適化(WebP形式の採用)
  • キャッシュ機能の活用
  • 不要なプラグインの削除
  • CDNの導入検討
  • コードの軽量化
表示速度の目標値

モバイルでのページ読み込み時間は3秒以内を目標とし、理想的には2秒以内に抑えましょう。Google PageSpeed Insightsで定期的にチェックし、スコア80以上を維持することが重要です。

商品ページの魅力度向上

商品画像の改善
  • • 最低5-10枚の多角度撮影
  • • 使用シーンをイメージできる写真
  • • ズーム機能で細部まで確認可能
  • • モデル着用写真(アパレル)
  • • Before/After写真(美容系)
商品説明文の充実
  • • 購入者のメリット明記
  • • サイズ・素材・仕様詳細
  • • 使用方法・お手入れ方法
  • • 他社商品との差別化ポイント
  • • よくある質問への回答
信頼性の向上
  • • 購入者レビューの掲載
  • • 返品・交換ポリシー明記
  • • 配送期間の明確化
  • • 会社情報・連絡先の掲載
  • • セキュリティ証明書の表示

決済・購入プロセスの最適化

決済方法の多様化

必須の決済方法
  • • クレジットカード(VISA, Master, JCB, AMEX)
  • • 代金引換
  • • 銀行振込
  • • コンビニ決済
推奨の決済方法
  • • PayPay
  • • Amazon Pay
  • • 楽天ペイ
  • • LINE Pay
  • • 後払い決済(Paidy, NP後払い)

購入フォームの改善

  • 入力項目を最小限に絞る
  • エラーメッセージを分かりやすく表示
  • 進行状況を可視化する
  • 自動入力機能を活用
  • ゲスト購入オプションを提供
  • カート保存機能の実装
カゴ落ち対策

カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに対して、メールやリターゲティング広告でフォローアップを行い、購入完了を促しましょう。

Web接客・サポート機能の充実

チャットボット・ライブチャット

購入前の不安や疑問をリアルタイムで解決することで、購入率を大幅に改善できます。よくある質問はチャットボットで自動回答し、複雑な質問は有人チャットに切り替える仕組みが効果的です。

効果的な質問例
  • • 「サイズ選びでお困りですか?」
  • • 「配送について質問はありませんか?」
  • • 「商品の詳細をもっと知りたいですか?」

レコメンド機能

AIを活用したレコメンド機能で、ユーザーの興味に合った商品を提案し、購入率と客単価の同時向上を図ります。閲覧履歴や購入履歴を基にしたパーソナライズが効果的です。

レコメンドの種類
  • • 「この商品を見た人はこちらも見ています」
  • • 「あなたにおすすめの商品」
  • • 「最近チェックした商品」
  • • 「一緒に購入されている商品」

客単価を効果的に上げる実践的施策

客単価向上は「強引な売り込み」ではなく「お客様にとってより良い選択肢の提案」という視点が重要です。購入者が本当に喜ぶ提案をすることで、自然に客単価は向上します。

クロスセル・アップセル戦略

クロスセル(関連商品提案)

購入予定の商品と一緒に使うと便利な関連商品を提案することで、お客様の利便性を高めながら客単価を向上させる手法です。

効果的な提案例
  • • スマートフォン → 保護フィルム・ケース
  • • 洋服 → アクセサリー・バッグ
  • • 化粧品 → スキンケア用品
  • • 食品 → 調味料・関連食材
  • • 家電 → 延長保証・専用アクセサリー

アップセル(上位商品提案)

検討中の商品よりもグレードの高い商品を提案することで、お客様により良い体験を提供しながら客単価を向上させる手法です。

アップセルのポイント
  • • 価格差は50%以内に抑える
  • • 明確な違いとメリットを説明
  • • 「人気No.1」などの社会的証明を活用
  • • 比較表で違いを可視化
  • • 長期的なコストパフォーマンスを訴求

まとめ買い促進施策

送料無料ライン設定

「あと○○円で送料無料」という表示で、自然にもう一品の購入を促します。送料無料ラインは平均客単価の1.2〜1.5倍に設定するのが効果的です。

例:平均客単価3,000円なら送料無料ライン4,000円

セット商品・福袋

関連商品をセットにして特別価格で提供することで、単品購入よりもお得感を演出し、客単価を向上させます。

例:「スターターセット」「季節の福袋」「お試しセット」

数量割引

「2個で○%OFF」「3個目から半額」など、購入数量に応じた割引を提供することで、まとめ買いを促進します。

例:「2個で10%OFF」「3個買うと1個無料」

限定感・緊急性の演出

時間限定キャンペーン

  • 「24時間限定セール」でタイムプレッシャーを演出
  • 「残り○時間」のカウントダウン表示
  • 「本日限り」「今週限り」の期間限定価格
  • フラッシュセールで短時間の集中購入を促進
注意点

虚偽の限定感は信頼を損なうため、実際に限定的なオファーを提供することが重要です。

数量限定・希少性訴求

  • 「在庫残り○個」の表示で希少性を演出
  • 「限定○個」の数量限定商品
  • 「○名様限定」の特別価格提供
  • 「再入荷未定」で今買う理由を創出
効果的な表示例

「この商品を見ている人が他に○名います」「過去24時間で○個売れました」

リピート率を高めて安定収益を実現する施策

リピーターは売上の安定化に欠かせない存在です。新規顧客獲得コストが高騰している今、既存顧客との関係性を深めることが持続的な成長の鍵となります。商品購入後からが本当の顧客との関係づくりの始まりです。

メール・LINE マーケティング

ステップメール・LINE配信

購入直後(当日)

注文確認 + お礼メッセージ + 配送予定

商品到着後(3日後)

使用感アンケート + 使い方ガイド + サポート情報

1週間後

お手入れ方法 + よくある質問 + 関連商品紹介

1ヶ月後

リピート促進 + 限定クーポン + 新商品案内

パーソナライズ配信

  • 購入履歴に基づいたおすすめ商品
  • 誕生日・記念日の特別オファー
  • 閲覧商品のセール情報
  • カートに入れた商品のリマインド
  • 前回購入から一定期間後のフォロー
配信頻度の目安
  • • メルマガ:週1-2回
  • • LINE:週2-3回
  • • セール情報:月2-3回
  • • 商品紹介:隔週1回

ポイント・会員制度の充実

ポイントシステム
  • • 購入金額の1-5%をポイント還元
  • • レビュー投稿でポイント付与
  • • 誕生日にボーナスポイント
  • • ポイント倍増キャンペーン
  • • ポイント有効期限の設定
会員ランク制度
  • • 購入金額に応じたランク分け
  • • ランク別特典の提供
  • • 上位ランク限定商品
  • • 送料無料ライン優遇
  • • 先行販売の案内
限定特典
  • • 会員限定セール
  • • 無料サンプル・プレゼント
  • • 優先サポート対応
  • • 限定コンテンツアクセス
  • • イベント・セミナー招待

顧客体験(CX)の向上

購入後のフォローアップ

  • 手書きのお礼状や温かみのあるメッセージカード
  • 商品の使い方や活用法を紹介する同梱物
  • お手入れ方法やメンテナンス情報
  • 季節に合わせた商品活用提案
  • アフターサポートの充実
サプライズ要素

「おまけ」や「試供品」など、期待以上の価値を提供することで感動体験を創出し、強いブランド愛着を形成できます。

コミュニティ形成

  • SNSでのユーザーコミュニティ運営
  • 商品の使用例・アレンジ例の共有
  • お客様の声・体験談の紹介
  • 商品開発への意見募集
  • ファンイベントやオンライン交流会
UGC活用

顧客が投稿した商品使用写真や体験談を積極的に紹介し、新規顧客への信頼性向上とリピーターのエンゲージメント向上を同時に実現します。

売上が劇的に改善した成功事例

事例1:アパレルブランドA社

改善前の状況

  • 月商:約200万円で停滞
  • CVR:0.8%と業界平均を下回る
  • 客単価:2,500円
  • リピート率:15%
  • 主な流入:自然検索のみ

実施した施策

  • Instagram広告の本格運用開始
  • 商品画像を5枚→12枚に増加
  • モデル着用写真を全商品に追加
  • 送料無料ラインを3,000円→5,000円に変更
  • LINE公式アカウント活用開始

改善結果(6ヶ月後)

500万円

月商(2.5倍)

2.3%

CVR(2.9倍)

4,200円

客単価(1.7倍)

28%

リピート率(1.9倍)

事例2:健康食品B社

課題と取り組み

単品通販で成果を上げていたものの、新規獲得コストの高騰で収益性が悪化。リピート率の向上と客単価アップが急務でした。

  • 定期購入制度の導入
  • ステップメール配信の自動化
  • お客様の声を活用したLP制作
  • 電話サポート体制の強化
  • 関連商品のクロスセル強化

成果

定期購入率

45%

(初回購入者の45%が定期購入に移行)

LTV向上

3.2倍

(顧客生涯価値の大幅向上)

収益性改善

180%

(利益率の大幅改善)

ECサイト売上改善のまとめ

正しい戦略と継続的な改善で、必ず成果は出ます

成功の鍵となるポイント

  • 売上の方程式を理解し、課題を特定する
  • 集客は広告から始めて、SEO・SNSで補完
  • モバイル最適化は最優先で取り組む
  • 購入後のフォローアップを徹底する
  • データ分析に基づいた継続改善を行う

改善の進め方

STEP 1:現状分析

売上の方程式で課題を特定

STEP 2:優先順位決定

最もインパクトの大きい施策から着手

STEP 3:施策実行

一つずつ確実に実装・運用

STEP 4:効果検証

データで結果を確認・改善

最後に

ECサイトの売上改善は一朝一夕にはできませんが、正しい方向性で継続的に取り組めば必ず成果が出ます。 大切なのは「お客様に価値を提供する」という基本姿勢を忘れずに、データに基づいた改善を続けることです。 今日から一つずつ、できることから始めてみてください。きっと3ヶ月後、6ヶ月後には大きな変化を実感できるはずです。

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