HTMLの遅延読み込みでサイト表示速度を劇的に向上させる完全ガイド

6 min 4 views

Webサイトの表示速度は、ユーザーエクスペリエンスと検索エンジンの評価に直結する重要な要素です。特に、画像が多く使用されているWebサイトでは、全ての画像を一度に読み込むことで表示速度が著しく低下してしまいます。

そこで今回は、HTMLの遅延読み込み(Lazy Loading)について、基本的な仕組みから実装方法、メリット・デメリット、さらには最適化のコツまで、初心者の方でもわかりやすく解説していきます。

HTMLの遅延読み込みとは

遅延読み込み(Lazy Loading)とは、リソースをノンブロッキング(重要でない)ものとして識別し、必要になったときだけ読み込む戦略のことです。

通常、Webページが表示される際は、ページ内で使用されている画像やiframe要素などのリソースを一度に全て読み込んでしまいます。しかし、遅延読み込みでは、ページ表示時にはファーストビュー(最初に表示される領域)の画像のみを読み込み、画面外の画像はユーザーがスクロールして表示が必要になるタイミングで読み込む仕組みを採用します。

例えば、ブログ記事の上部に画像があり、下部に図表が表示されている場合を考えてみましょう。読者が記事を読み進めるのに数分かかるなら、ブラウザはユーザーが下部までスクロールするまで図表の読み込みを待機します。この方法により、ページの初期表示は1つの画像のみで完了し、読み込み速度が大幅に向上します。

HTMLの遅延読み込みの仕組みについて

基本的な動作原理

遅延読み込みの基本的な仕組みは、ユーザーのナビゲーション行動をトリガーとして画像を読み込むことです。特に、ユーザーがページを下にスクロールしたタイミングで、表示される画像を順次読み込むよう指示します。

視覚的な領域の定義

Webページの表示領域は、以下の2つに分類されます:

  • Above the fold(アバブ・ザ・フォールド): ユーザーが最初に目にする部分
  • Below the fold(ビロウ・ザ・フォールド): ユーザーにはまだ見えない部分

アバブ・ザ・フォールドより上の画像は即座に読み込む必要がありますが、ビロウ・ザ・フォールドの画像は遅延読み込みの対象となります。

読み込みタイミング

遅延読み込みでは、画像がスクリーン内に入る手前から、ある程度余裕を持って読み込みが開始されます。これにより、ユーザーがスクロールしても、画像が表示されるまでの待機時間を最小限に抑えることができます。

HTML遅延読み込みの実装方法

遅延読み込みを実装する方法は、大きく分けて以下の3つです:

1. loading属性による実装(推奨)

最も簡単で推奨される方法は、HTML5のloading属性を使用することです。

Copy<img src="example.jpg" alt="サンプル画像" loading="lazy" width="640" height="320">

loading属性には以下の値を設定できます:

説明
lazyページスクロール時に画像が表示位置に近づいたタイミングで読み込む
eagerページ表示時に即座に読み込む
autoブラウザが自動的に最適な読み込み方法を選択(初期値)

2. JavaScriptライブラリを使用した実装

IE対応や高度なカスタマイズが必要な場合は、JavaScriptライブラリを使用します。代表的なライブラリとして「lazysizes」があります。

lazysizesの実装手順

Step 1: ライブラリの読み込み

Copy<script src="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/lazysizes/5.3.2/lazysizes.min.js"></script>

Step 2: HTML側の実装

Copy<img data-src="image.jpg" class="lazyload" alt="サンプル画像" width="640" height="320">

この方法では、通常のsrc属性の代わりにdata-src属性を使用し、lazyloadクラスを追加します。

3. WordPressでの自動実装

WordPressでは、バージョン5.5以降から画像の遅延読み込みが標準機能として搭載されています。

  • 1番目の画像decoding="async"のみ自動付与
  • 2番目以降の画像loading="lazy"が自動付与

ただし、これはWordPressのエディターで挿入した画像に限定されます。テーマファイルに直接記述した画像には手動で設定する必要があります。

HTML遅延読み込みのメリット・デメリット

メリット

1. ページ読み込み速度の大幅な向上

遅延読み込みの最大のメリットは、初期表示時のデータ転送量を削減できることです。

実際の効果を見てみましょう:

  • 遅延読み込み前: 2.1MB(10枚の画像すべて)
  • 遅延読み込み後: 853KB(ファーストビューの画像のみ)

この結果、約60%のデータ転送量削減を実現できます。

2. ユーザビリティの向上

表示速度が向上することで、以下の効果が期待できます:

  • 直帰率の低下
  • コンバージョン率の向上
  • ユーザーエクスペリエンスの改善

3. SEO効果

Googleは表示速度を検索順位の要因として考慮しているため、遅延読み込みの実装はSEO上の優位性をもたらします。

4. 帯域幅の節約

ユーザーが実際に閲覧しない画像の読み込みを回避できるため、サーバーの帯域幅とユーザーのデータ通信量を節約できます。

デメリット

1. 高速スクロール時の読み込み遅延

ユーザーが素早くスクロールした場合、画像の読み込みが追いつかず、一瞬空白が表示される可能性があります。

2. 検索エンジンクローラーの課題

通常のクローラーはスクロール動作を行わないため、遅延読み込みされた画像を認識できない場合があります。ただし、Googleは適切に実装された遅延読み込みを理解できるよう改良されています。

3. 追加のサーバー通信

ページの閲覧中に複数回のリクエストが発生するため、サーバーとの通信回数が増加します。

4. 実装コストの増加

JavaScriptライブラリを使用する場合、追加のコード読み込みによりわずかな処理時間が発生します。

HTML遅延読み込みの最適化のポイント

1. width・height属性の必須設定

遅延読み込みを実装する際は、必ずwidthheight属性を設定しましょう。

Copy<img src="example.jpg" loading="lazy" alt="サンプル画像" width="640" height="320">

これにより、画像が読み込まれる前にスペースが確保され、CLS(Cumulative Layout Shift)を防止できます。

2. ファーストビューの画像は除外

最初に表示される画像にloading="lazy"を設定すると、かえって表示速度が低下します。ファーストビューの画像は通常通り読み込むか、loading="eager"を明示的に設定しましょう。

3. 非同期デコードとの併用

画像の非同期デコードを併用することで、さらなる高速化が可能です。

Copy<img src="example.jpg" decoding="async" loading="lazy" alt="サンプル画像" width="640" height="320">

decoding="async"により、画像のデコード処理がページのレンダリングをブロックしなくなります。

4. 適切な画像フォーマットの選択

遅延読み込みと合わせて、以下の画像最適化も実施しましょう:

  • WebP形式の使用
  • 適切な圧縮率の設定
  • レスポンシブ画像の実装

HTML遅延読み込みの実装時の注意点

1. ブラウザ対応状況の確認

loading属性は、現在主要なブラウザでサポートされていますが、IE11など古いブラウザでは対応していません。必要に応じてフォールバック処理を実装しましょう。

2. iframe要素への適用

loading属性は、<iframe>要素にも適用できます。

Copy<iframe src="video-player.html" loading="lazy" width="640" height="360"></iframe>

外部スクリプトや動画の埋め込みは処理が重いため、遅延読み込みの効果が特に大きくなります。

3. プレースホルダーの設定

JavaScriptライブラリを使用する場合、読み込み中のプレースホルダーを設定できます。

Copy<img src="placeholder.jpg" data-src="main-image.jpg" class="lazyload" alt="サンプル画像">

4. 背景画像の遅延読み込み

CSS背景画像の遅延読み込みは、HTML属性では対応できません。JavaScriptライブラリのunveilhooksプラグインを使用しましょう。

Copy<div class="lazyload" data-bg="background-image.jpg">
  <!-- コンテンツ -->
</div>

LandingHubでの表示速度改善事例

LandingHubでは、遅延読み込み機能を標準で実装し、お客様のWebサイトの表示速度を大幅に向上させています。

実際の改善事例

A社ECサイト

  • 改善前: 初期表示時間 4.2秒
  • 改善後: 初期表示時間 1.8秒
  • 約57%の高速化を実現

B社コーポレートサイト

  • 改善前: PageSpeed Insightsスコア 45点
  • 改善後: PageSpeed Insightsスコア 89点
  • スコア44点向上

LandingHubの遅延読み込み機能

LandingHubでは、以下の機能を提供しています:

  • 自動的な遅延読み込み設定
  • 最適な読み込みタイミングの調整
  • レスポンシブ対応
  • SEO最適化された実装

これらの機能により、技術的な知識がなくても、簡単に高速なWebサイトを構築できます。

まとめ

HTMLの遅延読み込みは、Webサイトの表示速度を向上させるために必須のテクニックです。適切に実装することで、ユーザーエクスペリエンスの向上とSEO効果の向上を同時に実現できます。

実装のポイント

  1. HTMLのloading属性を使用した簡単な実装から始める
  2. width・height属性を必ず設定してCLSを防止
  3. ファーストビューの画像は遅延読み込みの対象外にする
  4. JavaScriptライブラリは高度な機能が必要な場合のみ使用

今後の対応

Webサイトの表示速度はますます重要になっており、遅延読み込みは標準的な実装となりつつあります。まだ実装していない方は、ぜひこの機会に導入を検討してみてください。

より高度な表示速度改善をお求めの場合は、LandingHubのような専門的なソリューションの活用も検討してみてくださいね。表示速度の改善は一度設定すれば長期的な効果が期待できる投資です。ユーザーにとって快適なWebサイトを提供するため、ぜひ積極的に取り組んでいきましょう。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です