ECサイトを運営していると、「直帰率が高いけど、これって問題なの?」「業界平均と比べてうちのサイトは大丈夫?」と悩むことがありますよね。
実際のところ、ECサイトの直帰率は他の業種と比べて低い傾向にあり、20~45%が平均的な数値とされています。しかし、単純に数字だけを見て判断するのは危険です。なぜなら、流入経路やページの種類、デバイスによって直帰率は大きく変わるからです。
この記事では、ECサイトの直帰率について基本から応용まで、具体的なデータと改善策を交えながら詳しく解説していきます。表示速度の改善ポイントも惜しみなく紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
ECサイトの直帰率とは?基本を理解しよう
まず、直帰率の定義から確認していきましょう。
直帰率の定義と計算方法
直帰率とは、ユーザーがWebサイトに訪問した際、最初に閲覧したページだけを見て、他のページに移動することなくサイトを離脱した割合のことです。
計算式は以下の通りです:
直帰率(%)= 直帰したセッション数 ÷ 全体のセッション数 × 100
例えば、あるページに100人のユーザーが訪問し、そのうち50人が1ページだけ見て離脱した場合、直帰率は50%となります。
直帰率と離脱率の違い
よく混同されがちなのが「直帰率」と「離脱率」です。この2つには重要な違いがあります。
- 直帰率:セッション単位で計算。最初のページだけを見て離脱した割合
- 離脱率:ページ単位で計算。そのページを最後に離脱した割合
つまり、直帰は離脱の一部と考えることができ、サイト内で1ページしか閲覧せずに離脱した特殊なケースが直帰なのです。
ECサイトの直帰率平均値と業界比較
さて、気になるECサイトの直帰率の平均値を見ていきましょう。
サイト種類別の直帰率平均
複数の調査データを総合すると、以下のような傾向が見られます:
サイト種類 | 直帰率の平均 |
---|---|
辞書・ポータルサイト | 65~90% |
ランディングページ | 60~90% |
コンテンツサイト | 35~60% |
リードジェネレーションサイト | 30~55% |
B2Bサイト | 25~55% |
ECサイト・小売 | 20~45% |
ご覧のとおり、ECサイトは他のサイト種類と比べて直帰率が低い傾向にあります。これは偶然ではありません。
なぜECサイトの直帰率は低いのか?
ECサイトの直帰率が低い理由は、サイトの構造と利用目的にあります:
- 商品比較のニーズ:ユーザーは購入前に複数の商品を比較したがる
- 関連商品の提案:「この商品を見た人はこんな商品も見ています」といったレコメンド機能
- 購入プロセス:商品ページ→カート→決済画面と複数ページを経由する
- 詳細情報の確認:商品説明、口コミ、配送情報など多角的な情報収集
これらの要因により、ユーザーは自然とサイト内を回遊することになり、結果として直帰率が低くなるのです。
業種別の直帰率比較
ECサイトの中でも、扱う商品によって直帰率は変わります:
業種 | 平均直帰率 |
---|---|
食料品 | 44% |
ファッション | 44% |
家庭用品・家具 | 44% |
旅行 | 42% |
ラグジュアリー業界 | 47% |
家電 | 56% |
高額商品や比較検討が必要な商品ほど、ユーザーはじっくりとサイト内を回遊する傾向があることが分かります。
流入経路別・デバイス別の直帰率の違い
直帰率を正しく評価するためには、流入経路やデバイス別の数値も把握しておく必要があります。
流入経路別の直帰率
流入経路 | 平均直帰率 |
---|---|
バナー広告(ディスプレイ広告) | 56.50% |
SNS | 54% |
直接流入 | 49.90% |
リスティング広告 | 44.10% |
オーガニック検索 | 43.60% |
リファラル | 37.50% |
Eメール | 35.20% |
リファラルやEメールからの流入は、すでに興味を持っているユーザーが多いため、直帰率が低くなります。一方、バナー広告は不特定多数に配信されるため、直帰率が高くなる傾向があります。
デバイス別の直帰率
デバイス | 平均直帰率 |
---|---|
タブレット | 46% |
デスクトップ | 50% |
モバイル | 51% |
興味深いことに、デスクトップの直帰率が年々上昇しています。これは、モバイルファーストの対応が進む中で、デスクトップ向けの最適化がおろそかになっている可能性を示唆しています。
GoogleアナリティクスGA4で直帰率を確認する方法
実際にあなたのECサイトの直帰率を確認してみましょう。GA4での確認方法を詳しく解説します。
サイト全体の直帰率を確認する方法
- Googleアナリティクス4にログイン
- 左メニューから「レポート」を選択
- 「エンゲージメント」→「概要」をクリック
- 直帰率の指標を確認
GA4では従来のユニバーサルアナリティクスと指標の計算方法が異なるため、注意が必要です。
ページごとの直帰率を確認する方法
- 「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を選択
- 表示されたページ一覧で直帰率を確認
- 特に商品ページやカテゴリページの数値をチェック
流入経路別の直帰率を確認する方法
- 「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」を選択
- 参照元/メディア別の直帰率を確認
- 広告キャンペーンごとの効果測定も可能
ECサイトの直帰率が高くなる5つの原因
平均値と比較して直帰率が高い場合、以下のような原因が考えられます。
1. 欲しい商品が見つからない
これが最もよくある原因の一つです。
- 商品説明が不十分で、商品の魅力が伝わらない
- 検索機能が使いにくく、目的の商品にたどり着けない
- 在庫切れの商品が表示される
- 価格や配送情報が不明確
ユーザーは明確な目的を持ってECサイトを訪れることが多いため、求めている商品や情報が見つからないと、すぐに別のサイトに移ってしまいます。
2. サイトの表示速度が遅い
これは直帰率に直結する重要な問題です。Googleの調査によると:
- ページの読み込み時間が1秒から3秒に増加すると、直帰率は32%上昇
- 1秒から5秒では90%上昇
- 1秒から6秒では106%上昇
- 1秒から10秒では123%上昇
表示速度改善のポイント:
- 画像の最適化
- WebPやAVIF形式の採用
- 適切なサイズでの画像配信
- 遅延読み込み(Lazy Loading)の実装
- サーバーレスポンス改善
- CDNの活用
- キャッシュ機能の最適化
- データベースクエリの最適化
- コード最適化
- CSS・JavaScriptの圧縮
- 不要なプラグインの削除
- Critical CSS の適用
この点について、ランディングページ制作・最適化に特化したlandinghubでは、表示速度の向上に重点を置いた設計を行っており、多くのECサイトで直帰率の改善を実現しています。
3. モバイル対応が不十分
現在、ECサイトの約68%がモバイル経由でのアクセスです。しかし、モバイル対応が不十分だと:
- 文字が小さすぎて読めない
- ボタンが押しにくい
- 横スクロールが発生する
- 操作が複雑すぎる
これらの問題により、ユーザーはストレスを感じて直帰してしまいます。
4. 他ページへの導線が分かりづらい
ECサイトでは、商品ページから関連商品やカテゴリページへの導線設計が重要です:
- 関連商品の表示が目立たない位置にある
- ナビゲーションメニューが複雑すぎる
- 内部リンクが適切に設置されていない
- 検索機能が使いにくい
5. 信頼性に関する情報が不足
オンラインショッピングでは信頼性が重要です:
- セキュリティ証明書の表示がない
- 運営会社の情報が不明確
- 返品・交換ポリシーが不明
- 口コミやレビューがない
ECサイトの直帰率を改善する7つの効果的な施策
ここからは、具体的な改善策を詳しく解説していきます。
1. ファーストビューの徹底的な改善
ユーザーがサイトに訪問して最初に目にするファーストビューは、直帰率に大きな影響を与えます。
改善ポイント:
- 価値提案の明確化:3秒以内にサイトの価値が伝わるキャッチコピー
- 視覚的な魅力:高品質な商品画像やブランドイメージの統一
- 信頼性の表示:セキュリティマークや受賞歴の表示
- 明確なCTA:次のアクションが分かりやすいボタン配置
2. 商品ページのコンテンツ充実
商品ページは直帰率改善の最重要ポイントです。
必須要素:
- 高品質な商品画像
- 複数角度からの写真
- 使用イメージが分かる写真
- ズーム機能の提供
- 詳細な商品説明
- スペック情報
- サイズ情報
- 素材・成分情報
- 使用方法や注意点
- 社会的証明
- 購入者レビュー
- 評価スコア
- よくある質問(FAQ)
- 関連商品の提案
- 「一緒に購入されている商品」
- 「この商品を見た人はこんな商品も見ています」
- 「おすすめ商品」
3. サイト内検索機能の最適化
ECサイトでは検索機能の使いやすさが直帰率に大きく影響します。
改善項目:
- 検索窓の視認性向上:目立つ位置に配置し、プレースホルダーで使い方を示唆
- 絞り込み機能の充実:価格、ブランド、サイズなど多角的な絞り込み
- 検索サジェスト機能:入力途中で候補を表示
- 検索結果の最適化:関連度の高い順に表示
- ゼロ検索結果対策:代替案や関連商品の提案
4. ページ表示速度の大幅改善
表示速度は直帰率に最も直接的な影響を与える要素の一つです。
技術的改善策:
- 画像最適化の徹底
- 次世代フォーマット(WebP、AVIF)の採用
- レスポンシブ画像の実装
- 画像圧縮率の最適化
- 遅延読み込み(Lazy Loading)の導入
- サーバーサイド最適化
- CDN(Content Delivery Network)の活用
- HTTP/2の採用
- Gzip圧縮の有効化
- ブラウザキャッシュの最適化
- フロントエンド最適化
- CSS・JavaScriptの最小化
- 使用していないコードの削除
- Critical CSS の分離
- 非同期読み込みの実装
ページ速度の測定には、GoogleのPageSpeed Insightsを活用しましょう。特にモバイルでのスコア改善が重要です。
5. モバイルファーストデザインの実装
モバイル利用者が過半数を占める現在、モバイルでの使いやすさは必須条件です。
モバイル最適化のポイント:
- タッチフレンドリー設計:ボタンサイズは最低44px×44px
- シンプルなナビゲーション:ハンバーガーメニューの適切な実装
- 入力フォームの最適化:適切なキーボードタイプの指定
- AMP対応:Accelerated Mobile Pagesでの高速化
6. パーソナライゼーション機能の導入
ユーザー一人ひとりに最適化された体験を提供することで、直帰率を大幅に改善できます。
実装例:
- 閲覧履歴に基づくレコメンド:過去の行動から興味のある商品を推薦
- 位置情報を活用した表示:配送可能エリアや店舗情報の最適化
- 時間帯に応じた表示:朝はコーヒー、夜はお酒など
- リピーター向けの特別表示:会員限定商品や特別価格の提案
7. A/Bテストによる継続的改善
改善施策の効果を定量的に測定し、継続的に最適化していくことが重要です。
テスト対象の例:
- 商品画像の配置やサイズ
- CTAボタンの色やテキスト
- 商品説明の内容や順序
- 関連商品の表示位置
- 価格表示の方法
業界別・商品別の直帰率改善テクニック
ECサイトと一口に言っても、扱う商品によって最適な改善アプローチは異なります。
ファッション・アパレル系ECサイト
特徴:視覚的な要素が重要、サイズ選びが課題
改善ポイント:
- 360度ビューや動画による商品紹介
- 詳細なサイズガイドとフィッティング情報
- コーディネート提案機能
- 色違い・サイズ違いの簡単切り替え
- 着用イメージ画像の充実
家電・デジタル機器系ECサイト
特徴:スペック比較が重要、高額商品が多い
改善ポイント:
- 詳細なスペック比較表
- 使用シーンを想定した説明
- 専門用語の分かりやすい解説
- 競合商品との比較機能
- 専門スタッフによる解説動画
食品・グルメ系ECサイト
特徴:味や品質の伝達が困難、季節性が強い
改善ポイント:
- 美味しそうな写真と動画
- 産地や製法の詳細説明
- お客様の声や感想の充実
- アレルギー情報の明記
- レシピや食べ方の提案
直帰率改善の成功事例と具体的な数値
実際に直帰率改善に成功した事例をご紹介します。
事例1:表示速度改善による成果
施策内容:
- 画像フォーマットをWebPに変更
- CDNの導入
- 不要なJavaScriptの削除
結果:
- ページ表示速度:5.2秒 → 2.1秒(60%改善)
- 直帰率:58% → 42%(16ポイント改善)
- コンバージョン率:1.8% → 2.8%(56%向上)
事例2:商品ページ改善による成果
施策内容:
- 商品画像を3枚から8枚に増加
- 360度ビューの導入
- レビュー機能の充実
- 関連商品表示の最適化
結果:
- 商品ページ滞在時間:45秒 → 2分15秒(200%向上)
- 直帰率:52% → 35%(17ポイント改善)
- ページ/セッション:2.1 → 3.4(62%向上)
事例3:モバイル最適化による成果
施策内容:
- レスポンシブデザインの全面見直し
- タッチ操作の最適化
- モバイル専用機能の追加
結果:
- モバイル直帰率:65% → 48%(17ポイント改善)
- モバイルコンバージョン率:0.9% → 1.7%(89%向上)
- モバイル売上比率:35% → 58%(大幅向上)
直帰率改善に役立つツールとサービス
効率的に直帰率を改善するために活用できるツールをご紹介します。
分析ツール
- Google Analytics 4:基本的な直帰率分析
- Google Search Console:検索流入の分析
- PageSpeed Insights:ページ速度の測定と改善提案
- Hotjar:ユーザー行動のヒートマップ分析
最適化ツール
- Google Optimize:A/Bテストの実施
- Optimizely:高度なパーソナライゼーション
- Adobe Target:エンタープライズレベルの最適化
表示速度改善ツール
- Cloudflare:CDNとセキュリティ
- GTmetrix:詳細なパフォーマンス分析
- WebP Cloud:画像最適化サービス
なお、ランディングページの制作や最適化においては、landinghubのような専門サービスを活用することで、これらの改善ポイントを総合的に実装し、大幅な直帰率改善を実現することが可能です。
直帰率改善の注意点と落とし穴
直帰率改善に取り組む際に注意すべきポイントがあります。
直帰率だけを追いかけない
直帰率の改善だけに固執すると、本来の目的を見失う可能性があります。
- コンバージョン率との関係:直帰率が下がってもCV率が下がることもある
- 質の高いトラフィックの確保:数値改善より質の向上を重視
- ユーザー満足度の維持:操作性や利便性を犠牲にしない
業界平均との比較の限界
業界平均は参考程度に留め、自社の状況に合わせた判断が重要です。
- 商品単価や購入頻度による違い
- ターゲット層や流入経路による違い
- 季節性やキャンペーンによる変動
短期的な数値変動に惑わされない
直帰率は様々な要因で変動するため、長期的な視点での改善が必要です。
- 最低3ヶ月以上のデータで判断
- 外部要因(季節、競合動向など)も考慮
- 複数の指標を総合的に評価
最新トレンドと今後の直帰率改善戦略
ECサイトの直帰率改善における最新動向を押さえておきましょう。
AI・機械学習の活用
AIを活用したパーソナライゼーションがより重要になっています:
- 行動予測:ユーザーの離脱を予測し、事前に対策
- 動的コンテンツ最適化:リアルタイムでの最適なコンテンツ表示
- チャットボット:離脱寸前のユーザーへの自動アプローチ
音声検索対応
音声検索の普及に伴う対応が必要:
- 自然言語での検索クエリへの対応
- 音声読み上げに適したコンテンツ構造
- 会話型UIの導入
ARVRの活用
没入型体験による直帰率改善:
- AR試着機能
- VRショールーム体験
- 3D商品ビューアー
まとめ:ECサイトの直帰率改善で売上向上を実現
ECサイトの直帰率について、基本的な定義から具体的な改善策まで包括的に解説してきました。重要なポイントをまとめると:
押さえておくべき基本数値
- ECサイトの直帰率平均:20~45%
- 業界や流入経路により大きく異なる
- モバイル対応の重要性が増している
改善効果の高い施策
- 表示速度改善:最も効果的で即効性のある施策
- 商品ページ充実:画像、説明、レビューの充実
- モバイル最適化:過半数のユーザーに対応
- サイト内導線改善:関連商品やナビゲーションの最適化
継続的改善のポイント
- データに基づいた分析と改善
- A/Bテストによる効果検証
- ユーザー視点での使いやすさ重視
- 複数指標の総合的な評価
直帰率改善は一朝一夕では実現できませんが、継続的な取り組みにより確実に成果を上げることができます。特に表示速度の改善は比較的実装しやすく、効果も高いため、まずはここから始めることをおすすめします。
もし専門的な知識やリソースが不足している場合は、landinghubのような専門サービスを活用することで、効率的かつ確実な改善を実現できるでしょう。
最後に、直帰率改善の取り組みは、単なる数値改善ではなく、ユーザーにとってより価値のあるECサイトを作ることです。ユーザーファーストの視点を忘れずに、継続的な改善に取り組んでいきましょう。
あなたのECサイトの直帰率改善に、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。