Webサイトの表示速度を向上させたい、SEO対策を強化したい、そんなお悩みをお持ちの方はいませんか?実は、多くのWebサイトが見落としている重要な改善ポイントがあります。それが「画像最適化」です。
今回は、Googleが開発した次世代画像フォーマット「WebP(ウェッピー)」について詳しく解説します。WebPを理解して活用することで、サイトの表示速度が大幅に改善され、SEO効果も期待できるんです。
目次
WebPとは
WebP(ウェッピー)は、2010年にGoogleが開発した新しい画像フォーマットです。拡張子は「.webp」で表記され、従来のJPEGやPNGと比べて、画質を保ったまま大幅にファイルサイズを圧縮できることが最大の特徴です。
「また新しい技術か…」と思われるかもしれませんが、実はWebPは既に多くの主要ブラウザに対応しており、2024年現在では約97%のユーザーがWebP対応ブラウザを使用しています。つまり、もはや実験的な技術ではなく、実用的な画像フォーマットとして確立されているのです。
WebPが注目される背景
なぜWebPがこれほど注目されているのでしょうか?それは、現代のWebサイトが抱える共通の課題に直結しているからです。
現在のWebサイトでは、ユーザーエクスペリエンスが非常に重要視されています。特に、2021年6月に実施されたGoogleの「ページエクスペリエンスアップデート」以降、サイトの表示速度は検索順位に直接影響する要因となりました。
このアップデートで導入された「Core Web Vitals」では、ページの読み込み速度、視覚的安定性、インタラクティビティが評価指標として設定されています。画像はWebページの容量の大部分を占めるため、画像の最適化は表示速度改善の鍵となるのです。
WebPの基本的な特徴
WebPには、従来の画像フォーマットにはない革新的な特徴があります。
可逆圧縮・非可逆圧縮の両方に対応
WebPの最大の特徴は、可逆圧縮と非可逆圧縮の両方に対応していることです。
可逆圧縮とは、圧縮されたデータを損失なく元の状態に復元できる技術で、PNG形式がこれに該当します。一方、非可逆圧縮は、圧縮時にある程度のデータ損失を許容する代わりに、高い圧縮率を実現する技術で、JPEG形式がこれに該当します。
WebPは、用途に応じてこれらの圧縮方式を選択できるため、あらゆるシーンで最適な画像品質とファイルサイズを実現できます。Google公式の発表によると、可逆圧縮モードではPNG画像と比べて26%、非可逆圧縮モードではJPEG画像と比べて25~34%のファイルサイズ削減が可能です。
透過処理とアニメーション機能
WebPは、PNG形式のような透過処理(背景を透明にする機能)にも対応しています。これにより、ロゴやアイコンなどの画像を様々な背景に自然に重ねることができ、デザインの柔軟性が大幅に向上します。
さらに、GIF形式のようなアニメーション機能も搭載されており、より高い圧縮率と品質でアニメーションを表示できます。つまり、WebPは従来のJPEG、PNG、GIFの特徴を全て兼ね備えた「オールインワン」の画像フォーマットなのです。
WebPのメリット・デメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ファイルサイズ | ・JPEGより25~34%軽量 ・PNGより26%軽量 ・画質劣化なしで大幅圧縮 | ・変換作業が必要 ・一括変換の手間 |
表示速度 | ・ページ読み込み時間短縮 ・モバイルでの高速表示 ・ユーザーエクスペリエンス向上 | ・非対応ブラウザでは表示されない ・フォールバック設定が必要 |
SEO効果 | ・Google推奨フォーマット ・PageSpeed Insights評価向上 ・検索順位の改善効果 | ・導入初期の設定工数 ・技術的な知識が必要 |
機能性 | ・透過処理対応 ・アニメーション対応 ・可逆・非可逆圧縮選択可能 ・1,677万色対応 | ・一部画像編集ソフト非対応 ・古いツールでの編集困難 |
対応環境 | ・主要ブラウザ97%対応 ・Chrome、Firefox、Safari対応 ・モバイル端末対応 | ・IE11以下非対応 ・Safari13以下非対応 ・古いAndroid非対応 |
運用面 | ・サーバー負荷軽減 ・転送量削減 ・CDNコスト削減 ・管理の一元化 | ・導入時の学習コスト ・変換ツールの選定が必要 ・品質設定の調整が必要 |
WebPは一部のデメリットがあるものの、それを大幅に上回るメリットがあります。
特に、97%のブラウザ対応率と大幅なファイルサイズ削減効果を考慮すると、現代のWebサイトには必須の技術と言えるでしょう。
WebPのメリット
WebPを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。
特に、Webサイト運営者にとって重要な利点を詳しく見てみましょう。
大幅なファイルサイズ削減
WebPの最大のメリットは、画質を保ったままファイルサイズを大幅に削減できることです。具体的には、同じ画質のJPEG画像と比較して25~34%、PNG画像と比較して26%のサイズ削減が可能です。
例えば、444KBのJPEG画像をWebPに変換すると、画質をほぼ保ったまま107KBまで圧縮できます。これは実に75%以上のサイズ削減を意味します。一つの画像でこれだけの差が出るのですから、サイト全体の画像をWebPに変換すれば、その効果は計り知れません。
ページ表示速度の劇的な向上
ファイルサイズが小さくなることで、ページの読み込み速度が大幅に向上します。特にモバイルデバイスや低速インターネット環境でのアクセスでは、その効果は顕著に現れます。
Google の調査によると、ページの読み込み時間が1秒から3秒に増加すると、離脱率は32%増加します。さらに、1秒から5秒では90%、1秒から6秒では106%も離脱率が増加するのです。WebPの導入により、これらの離脱を防ぐことができます。
SEO効果の向上
ページの表示速度は、Googleの検索ランキング要因の一つです。WebPの導入により表示速度が向上することで、SEO効果も期待できます。
また、GoogleはPageSpeed Insightsなどのツールを通じて、WebPの利用を積極的に推奨しています。これは、Googleが開発したフォーマットであることはもちろん、ユーザーエクスペリエンスの向上に直結するからです。
サーバー負荷の軽減
ファイルサイズが小さくなることで、サーバーからの転送データ量が削減されます。これにより、サーバーの負荷が軽減され、より多くのユーザーアクセスに対応できるようになります。
また、CDN(Content Delivery Network)を使用している場合、転送量の削減により、コスト削減効果も期待できます。
多機能性による運用効率の向上
従来は、写真にはJPEG、透過画像にはPNG、アニメーションにはGIFと、用途に応じて異なる形式を使い分ける必要がありました。WebPなら、これらの機能を一つのフォーマットで実現できるため、画像管理が格段に楽になります。
これは、Web制作の現場では大きなメリットです。フォーマットの選択で迷うことなく、WebPを選んでおけば間違いない、という状況になりつつあります。
WebPのデメリット
多くのメリットがあるWebPですが、いくつかのデメリットも存在します。ただし、これらの多くは時間の経過とともに改善されており、現在では大きな問題とはなっていません。
一部ブラウザでの非対応
WebPのデメリットとして最も指摘されるのが、一部のブラウザでの非対応です。具体的には、以下のブラウザでWebPが対応していません:
- Internet Explorer 11以下
- Safari 13以下
- Android Browser 4.4以下
しかし、2024年現在では、これらの非対応ブラウザを使用するユーザーは全体の約3%に過ぎません。つまり、97%のユーザーがWebP対応ブラウザを使用しているのです。
また、非対応ブラウザに対しては、HTMLのpictureタグを使用してフォールバック(代替表示)を設定することで対応可能です。
画像変換の手間
既存の画像をWebPに変換するには、専用のツールやサービスを使用する必要があります。大量の画像を扱うサイトの場合、全ての画像を変換するのは手間がかかる作業です。
ただし、この問題は自動変換ツールやCDNサービスを利用することで解決できます。WordPressなどのCMSでは、プラグインを使用することで自動的にWebPに変換することも可能です。
一部の画像編集ソフトでの対応不足
WebPは比較的新しいフォーマットのため、一部の画像編集ソフトでは対応していない場合があります。ただし、Adobe PhotoshopやCanvaなどの主要な画像編集ツールでは既に対応しており、この問題は徐々に解決されています。
WebPと他の画像フォーマットとの比較
WebPの特徴をより理解するために、従来の画像フォーマットとの違いを詳しく見てみましょう。
形式 | 圧縮方式 | 透過処理 | アニメーション | 色数 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|---|
WebP | 可逆・非可逆 | ○ | ○ | 1,677万色 | オールマイティ |
JPEG | 非可逆 | × | × | 1,677万色 | 写真 |
PNG | 可逆 | ○ | × | 256〜1,677万色 | ロゴ、アイコン |
GIF | 可逆 | △ | ○ | 256色 | アニメーション |
JPEGとの違い
JPEG(Joint Photographic Experts Group)は、写真などの静止画像に適した形式で、高い圧縮率が特徴です。ただし、透過処理やアニメーションには対応していません。
WebPは、JPEGの高い圧縮率を維持しながら、さらに25~34%のファイルサイズ削減を実現します。また、透過処理にも対応しているため、JPEGでは実現できない表現も可能です。
PNGとの違い
PNG(Portable Network Graphics)は、透過処理に対応した可逆圧縮の画像形式で、ロゴやアイコンなどによく使用されます。ただし、ファイルサイズが大きくなりがちという欠点があります。
WebPは、PNGの透過処理機能を維持しながら、26%のファイルサイズ削減を実現します。また、非可逆圧縮モードを選択することで、さらなる圧縮も可能です。
GIFとの違い
GIF(Graphics Interchange Format)は、アニメーション機能を持つ唯一の画像形式として長年使用されてきました。ただし、色数が256色に制限されており、現代のWebサイトには不向きな面もあります。
WebPは、GIFのアニメーション機能を維持しながら、1,677万色の豊富な色表現と、より高い圧縮率を実現します。これにより、より美しく軽量なアニメーションを表示できます。
WebPの変換方法
既存の画像をWebPに変換する方法は複数あります。用途や環境に応じて最適な方法を選択しましょう。
オンライン変換ツール
Squoosh
Squooshは、Googleが開発したWebベースの画像圧縮・変換ツールです。ブラウザ上で動作するため、ソフトウェアのインストールは不要です。
使用方法は非常に簡単で、Squooshのウェブサイトにアクセスし、変換したい画像をドラッグ&ドロップするだけです。リアルタイムでファイルサイズや画質の変化を確認できるため、最適な設定を見つけることができます。
サルワカ道具箱
サルワカ道具箱は、日本発のWebツール集で、WebP変換機能も提供しています。複数の画像を一括で変換できるため、大量の画像を処理する際に便利です。
インターフェースが日本語で分かりやすく、初心者でも安心して使用できます。
WordPressプラグイン
WordPressを使用している場合は、専用のプラグインを使用することで、自動的にWebPに変換することができます。
WebP Converter for Media
WordPressの管理画面からインストールできるプラグインで、既存の画像を一括でWebPに変換できます。また、新しくアップロードされる画像も自動的にWebPに変換されるため、手間がかかりません。
対応していないブラウザには自動的に元の画像を表示するフォールバック機能も搭載されているため、安心して使用できます。
Adobe Photoshop
Adobe Photoshopの最新版(バージョン23.2以降)では、WebP形式での保存に対応しています。「ファイル」→「コピーを保存」→「WebP」を選択することで、WebP形式で保存できます。
古いバージョンのPhotoshopを使用している場合は、「WebPShop」というプラグインをインストールすることで、WebP形式での保存が可能になります。
画像CDNサービス
大量の画像を扱うWebサイトや、動的に画像を生成するサービスでは、画像CDNサービスの利用がおすすめです。
ImageFlux
ImageFluxは、オリジナル画像をもとにデバイスに最適化された画像を動的に生成できるサービスです。URLパラメータを追加するだけで、自動的にWebPに変換して配信できます。
また、WebP非対応ブラウザには自動的に元の画像形式で配信するため、追加の設定は不要です。
WebPの実装方法
WebPを実際のWebサイトに実装する際には、いくつかの方法があります。
シンプルな実装
最もシンプルな実装方法は、通常の画像タグでWebPファイルを指定することです:
<img src="image.webp" alt="説明文">
ただし、この方法では非対応ブラウザで画像が表示されない可能性があります。
フォールバック対応実装
より安全な実装方法は、HTMLのpictureタグを使用してフォールバックを設定することです:
<picture>
<source srcset="image.webp" type="image/webp">
<img src="image.jpg" alt="説明文">
</picture>
この方法では、WebP対応ブラウザにはWebP画像を、非対応ブラウザには通常のJPEG画像を表示します。
WebPの最適化テクニック
WebPの効果を最大限に引き出すためには、適切な最適化が重要です。
品質設定の調整
WebPの品質設定は、ファイルサイズと画質のバランスを決定します。一般的に、品質80~90%の設定が、ファイルサイズと画質の良いバランスを提供します。
写真などの複雑な画像では品質90%、シンプルなイラストでは品質80%程度が適しています。
レスポンシブ対応
異なるデバイスサイズに対応するため、複数のWebPサイズを用意することも重要です:
<picture>
<source media="(max-width: 768px)" srcset="image-small.webp" type="image/webp">
<source srcset="image-large.webp" type="image/webp">
<img src="image.jpg" alt="説明文">
</picture>
WebPの将来性と最新動向
WebPは、Googleの強力なバックアップのもと、今後も継続的に発展していくことが予想されます。
ブラウザ対応の拡大
現在97%のブラウザがWebPに対応しており、この数値は今後さらに上昇していくと予想されます。Internet Explorerのサポート終了に伴い、WebP非対応ブラウザは実質的に無視できる水準になっています。
AVIF形式との関係
WebPよりもさらに高い圧縮率を持つAVIF(AV1 Image File Format)という新しい画像形式も注目されています。ただし、AVIFはまだブラウザ対応が限定的で、WebPが当面の主流になると予想されます。
表示速度改善のその他のポイント
WebPの導入と合わせて実施すると効果的な、表示速度改善のポイントをご紹介します。
画像の遅延読み込み
大量の画像があるページでは、画像の遅延読み込み(Lazy Loading)を実装することで、初期読み込み時間を短縮できます。
CDNの活用
CDN(Content Delivery Network)を活用することで、ユーザーの地理的位置に最も近いサーバーから画像を配信できます。
キャッシュ戦略
適切なキャッシュ設定により、リピートユーザーの表示速度を大幅に改善できます。
LandingHubでの表示速度最適化
ランディングページの表示速度は、コンバージョン率に直結する重要な要素です。LandingHubでは、WebPを含む様々な最適化技術を活用して、高速なランディングページを制作しています。
特に、ランディングページでは第一印象が重要なため、ファーストビューの画像最適化は欠かせません。WebPの導入により、美しい画像を保ちながら高速な表示を実現できます。
また、LandingHubでは、WebP対応の制作環境を整備しており、お客様のランディングページでも自動的にWebP最適化を実施しています。これにより、特別な設定や作業をすることなく、最適化されたランディングページを運用できます。
まとめ
WebPは、現代のWebサイトにとって必要不可欠な技術となっています。画質を保ったまま大幅なファイルサイズ削減を実現し、ページの表示速度向上、SEO効果の改善、ユーザーエクスペリエンスの向上など、多くのメリットをもたらします。
確かに、画像の変換作業や一部ブラウザでの非対応など、いくつかのデメリットも存在します。しかし、これらの問題は適切なツールや実装方法により容易に解決できます。97%のユーザーが対応ブラウザを使用している現在、WebPを導入しない理由はほとんどありません。
特に、モバイルファーストの現代においては、表示速度の改善は競争優位性を決定づける重要な要素です。WebPの導入により、競合他社に差をつけることができるでしょう。
「まずは試してみたい」という方は、無料で使えるSquooshなどのオンラインツールから始めてみてください。WordPressを使用している場合は、プラグインを使用することで簡単にWebPを導入できます。
Webサイトの表示速度改善は、一朝一夕で実現できるものではありません。しかし、WebPの導入は、その中でも比較的簡単に実施できる施策の一つです。ぜひこの機会に、WebPを活用してサイトのパフォーマンス向上を図ってみてください。
本格的なランディングページ最適化をお考えの方は、LandingHubにお気軽にご相談ください。WebP最適化をはじめとした、包括的な表示速度改善施策をご提案いたします。