Webサイトの表示速度が遅いと、ユーザーの離脱率が高くなってしまうって知っていますか?実際、ページの表示に3秒以上かかると、なんと40%ものユーザーが離脱してしまうというデータがあります。
そこで活用したいのが、Googleが提供する無料ツール「PageSpeed Insights」です。でも、「結果の点数が低くて困っている」「何点取れば合格なの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、PageSpeed Insightsの合格点について、初心者の方でも分かりやすく詳しく解説していきます。表示速度の改善によってユーザビリティを向上させ、SEO効果も期待できる具体的な方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
PageSpeed Insightsとは?基本を理解しよう
PageSpeed Insightsは、Googleが提供する無料のウェブページ表示速度測定ツールです。URLを入力するだけで、そのページの表示速度を100点満点でスコア化し、改善が必要な項目と具体的な改善方法まで提示してくれる優れものです。
特に嬉しいのは、Googleアカウントを持っていなくても誰でも利用できること。しかも、自分のサイトだけでなく競合他社のサイトも測定できるので、競合分析にも活用できます。
測定結果は、モバイル版とデスクトップ版の2つのデバイスでチェックできるようになっており、それぞれ異なるスコアが表示されます。これは、デバイスによって表示速度の最適化ポイントが異なるためです。
PageSpeed Insightsが測定する主な指標
PageSpeed Insightsでは、以下のような指標でサイトのパフォーマンスを評価しています:
- FCP(First Contentful Paint):ページの読み込み開始から、何らかのコンテンツが画面に表示されるまでの時間
- LCP(Largest Contentful Paint):最も大きな画像やテキストが表示されるまでの時間
- CLS(Cumulative Layout Shift):ページレイアウトの予期しない移動の程度
- FID(First Input Delay):ユーザーがクリックやタップした後、ブラウザが実際に処理を開始するまでの時間
これらの指標は、2021年5月からGoogleのSEO評価項目の一つとなった「Core Web Vitals」にも含まれており、検索順位にも影響を与える重要な要素となっています。
PageSpeed Insightsの合格点は何点?
多くの方が気になる「合格点」について、具体的な数値をお伝えしましょう。
一般的な合格点の目安
PageSpeed Insightsのスコアにおける合格点として、以下のラインが一般的に推奨されています:
- モバイル:70点以上
- デスクトップ:90点以上
ただし、これらの数値はあくまで理想的な目標値です。実際の運用では、もう少し現実的な目標から始めることをお勧めします。
現実的な最初の目標値
特に改善を始めたばかりの場合は、以下の点数を最初の目標にしてみてください:
- モバイル:50点以上
- デスクトップ:80点以上
なぜこの数値なのか?それは、モバイルのスコアがデスクトップに比べて改善しにくい傾向にあるからです。モバイルでは、通信環境や端末のスペックの制約により、どうしてもスコアが低くなりがちなんです。
スコアと体感速度の関係
重要なのは、スコアだけでなく実際のユーザー体験です。以下のような関係があることが調査で分かっています:
- 50点以上:応答時間が2~3秒程度。ユーザーはストレスを感じにくい
- 50点未満:応答時間が4~7秒程度。ユーザーに待機ストレスを与える
実際の検索結果を調査したところ、上位表示されているサイトでも、必ずしも高いスコアを獲得しているわけではありませんでした。検索1位のサイトが12点という低スコアだったケースもあります。これは、表示速度がSEOの一要素に過ぎないことを示しています。
なぜモバイルのスコアが低くなりがちなのか?
多くのサイト運営者が「デスクトップでは良いスコアが出るのに、モバイルだと極端に悪くなる」という経験をしています。この原因を理解しておくことで、改善の方向性が見えてきます。
主な原因
- モバイル最適化不足:デスクトップ向けに作られたサイトを単純にレスポンシブ対応しただけでは、モバイルに最適化されていない
- 画像サイズの問題:デスクトップ用の大きな画像をそのままモバイルでも読み込んでいる
- 通信環境の制約:モバイル回線はWi-Fiや有線接続に比べて不安定で速度が出にくい
- 端末性能の制約:スマートフォンのCPUやメモリはPCに比べて限定的
Googleのモバイルファースト対応
BtoB企業では「うちはデスクトップユーザーが多いから」と、モバイル対応を軽視しがちですが、これは危険な考え方です。Googleは「モバイルファーストインデックス」を採用しており、モバイル版のページを基準にサイトを評価しています。
つまり、モバイルでの表示速度やユーザビリティが、そのままSEO評価に直結するということです。だからこそ、モバイルでのスコア改善は優先的に取り組むべき課題なんです。
PageSpeed Insightsのスコアが変動する理由
PageSpeed Insightsを使っていて「あれ?さっき測定したときと点数が違う」と感じたことはありませんか?これは珍しいことではありません。
スコア変動の主な要因
- ネットワーク状況:測定時のインターネット回線の混雑状況
- サーバー負荷:測定対象サイトのサーバーの負荷状況
- 測定環境:Googleの測定サーバーの状況
そのため、1回の測定結果だけで判断するのではなく、2~3回測定して最も良い結果を参考値として使うことをお勧めします。ただし、サーバーに負荷をかけすぎないよう、測定は適度な間隔を空けて行ってくださいね。
初心者でもできる!表示速度改善の6つのポイント
ここからは、プログラミングの知識がなくても取り組める改善方法をご紹介します。効果的で実践しやすいものから順番に解説していきますので、できるところから始めてみてください。
1. 画像の最適化
表示速度改善の第一歩は、画像の最適化です。これは最も効果が高く、しかも比較的簡単に実施できる改善方法です。
画像圧縮の方法
以下のような無料オンラインツールを活用しましょう:
- TinyPNG:PNGとJPEG画像を高品質で圧縮
- Compressor.io:様々な形式の画像を圧縮
- Optimizilla:圧縮率を調整しながら最適化
画像形式の選び方
- JPEG:写真など色数の多い画像に適している
- PNG:ロゴやアイコンなど、透明度が必要な画像に適している
- WebP:次世代フォーマット。高圧縮率で品質を保てる
品質を保ちながらファイルサイズを削減したい場合は、WebP形式の採用も検討してみてください。ただし、古いブラウザでは対応していない場合があるので、フォールバック対応が必要です。
2. 適切な画像サイズの設定
意外と見落としがちなのが、画像の表示サイズとファイルサイズの関係です。
例えば、サイト上で300×200ピクセルで表示する画像に、3000×2000ピクセルの画像ファイルを使っていませんか?これでは無駄にファイルサイズが大きくなってしまいます。
最適なサイズの決め方
- 表示サイズの2倍程度:高解像度ディスプレイにも対応
- 用途に応じた調整:サムネイルなら小さく、メイン画像なら大きく
- レスポンシブ対応:デバイスごとに最適なサイズを用意
3. 遅延読み込み(Lazy Loading)の活用
ページを開いたときに、すべての画像を一度に読み込む必要はありません。ユーザーがスクロールして画像が見える位置に来たときに読み込む「遅延読み込み」を活用しましょう。
遅延読み込みのメリット
- 初期表示の高速化:ファーストビューの読み込み時間を短縮
- データ使用量の削減:ユーザーが見ない画像は読み込まない
- サーバー負荷軽減:同時リクエスト数を減らせる
WordPressをお使いの場合は、「WP Rocket」や「Smush」などのプラグインで簡単に実装できます。
4. ブラウザキャッシュの活用
一度訪問したユーザーが再度サイトを訪れたときに、前回読み込んだファイルをブラウザに保存しておく「キャッシュ」機能を活用しましょう。
キャッシュの効果
- リピーター向け高速化:2回目以降の訪問時の表示が速くなる
- サーバー負荷軽減:同じファイルの再送信が不要
- データ通信量削減:ユーザーの通信費節約にも貢献
レンタルサーバーの多くは、管理画面からキャッシュ設定を簡単に行えるようになっています。設定方法については、ご利用のサーバーのマニュアルを確認してみてください。
5. 不要なプラグインの削除
WordPressサイトでは、使っていないプラグインが表示速度を遅くしている場合があります。
チェックポイント
- 未使用プラグイン:インストールしているが使っていないもの
- 重複機能:同じような機能のプラグインが複数ある
- 古いプラグイン:更新されていない、または開発が終了しているもの
定期的にプラグインの棚卸しを行い、本当に必要なもの以外は削除することで、サイトの軽量化を図れます。
6. ホスティングサービスの見直し
表示速度の根本的な改善には、サーバー自体の性能も重要な要素です。
高速化に効果的なホスティング選びのポイント
- SSD使用:従来のHDDより高速なデータ読み書き
- CDN対応:世界中のサーバーからコンテンツを配信
- HTTP/2対応:より高速な通信プロトコル
- 自動バックアップ:安全性と運用性を両立
格安サーバーから高性能サーバーへの移行を検討している場合、LandingHubのような高速化に特化したホスティングサービスも選択肢の一つです。表示速度とユーザビリティの向上により、コンバージョン率の改善も期待できます。
上級者向け:より高度な改善テクニック
基本的な改善に取り組んだ後、さらなる高速化を目指す場合の上級テクニックもご紹介しておきます。これらは技術的な知識が必要になるため、エンジニアの方と相談しながら実施することをお勧めします。
1. Critical CSS の実装
ファーストビューの表示に必要なCSSのみを先に読み込み、その他のCSSは後から読み込む手法です。
2. JavaScriptの最適化
- 非同期読み込み:async、defer属性の活用
- コード分割:必要な部分のみを読み込み
- 未使用コードの削除:Tree Shakingの実装
3. Service Worker の実装
ブラウザとサーバーの間でリクエストを制御し、より効率的なキャッシュ戦略を実現します。
4. サーバーサイドの最適化
- Gzip圧縮:HTMLやCSSファイルの圧縮転送
- Keep-Alive設定:接続の再利用による高速化
- データベース最適化:クエリの最適化とインデックス設定
PageSpeed Insightsの結果を正しく読み解く方法
スコアだけでなく、PageSpeed Insightsが提供する詳細な診断結果を理解することで、より効果的な改善が可能になります。
「実際のユーザーの環境で評価する」データの見方
この項目では、実際のChromeユーザーのデータを基にした測定結果が表示されます。色分けされた結果の意味は以下の通りです:
- 緑色:良好(問題なし)
- 橙色:改善が必要(注意が必要)
- 赤色:不良(優先的に改善が必要)
特に、LCP(Largest Contentful Paint)とCLS(Cumulative Layout Shift)は、ユーザー体験に直接影響する重要な指標なので、赤色や橙色が表示されている場合は優先的に改善しましょう。
「改善できる項目」の優先順位の付け方
PageSpeed Insightsは多くの改善提案をしてくれますが、すべてを実施する必要はありません。以下の基準で優先順位を決めましょう:
- 影響度の大きさ:「○○秒の短縮が見込める」といった具体的な効果
- 実装の容易さ:技術的な難易度と工数
- リスクの低さ:サイトの表示や機能に影響を与えにくいもの
表示速度改善の効果測定方法
改善施策を実施したら、その効果をしっかりと測定することが重要です。
測定すべき指標
- PageSpeed Insightsスコア:改善前後の比較
- Google Analytics:ページ読み込み時間、直帰率の変化
- Google Search Console:Core Web Vitalsの数値
- 実際の体感速度:様々なデバイスでの確認
継続的な監視の重要性
表示速度は一度改善すれば終わりではありません。コンテンツの追加や機能の拡張により、徐々に重くなっていくのが普通です。月に1回程度は定期的にチェックし、必要に応じて再度最適化を行いましょう。
よくある質問と回答
Q: 100点を取ることは可能ですか?
A: 技術的には可能ですが、実用的なサイトで100点を維持するのは非常に困難です。多くの機能(Google Analytics、広告、チャットボットなど)を諦める必要があり、現実的ではありません。70-80点程度を目標にするのが適切です。
Q: モバイルとデスクトップ、どちらを優先すべきですか?
A: 現在のGoogleのアルゴリズムでは、モバイルファーストインデックスが採用されているため、モバイルを優先することをお勧めします。ただし、BtoBサイトなど明らかにPC利用者が多い場合は、両方をバランスよく改善しましょう。
Q: 改善したのにスコアが上がらないのはなぜですか?
A: PageSpeed Insightsは測定のたびに結果が変動します。また、改善の効果が反映されるまで時間がかかる場合もあります。複数回測定し、最も良い結果を参考にしてください。
Q: スコアが低くても検索順位は上がりますか?
A: はい、可能です。表示速度はSEOの一要素に過ぎません。コンテンツの質、被リンク、ユーザーエンゲージメントなど、他の要素の方が影響が大きい場合があります。
まとめ:ユーザーファーストの表示速度改善を
PageSpeed Insightsの合格点について詳しく解説してきましたが、最も重要なのは「スコアありき」ではなく、「ユーザーの体験向上」を目的とした改善です。
改善のポイント再確認
- 現実的な目標設定:モバイル50点、デスクトップ80点から始める
- 段階的な改善:簡単な項目から着手し、徐々に高度な最適化へ
- 継続的な監視:定期的なチェックと必要に応じた再最適化
- ユーザー体験重視:数値だけでなく実際の使い勝手を確認
表示速度の改善は、単純にSEO効果を期待するだけでなく、ユーザビリティの向上、コンバージョン率の改善、ブランドイメージの向上など、多くのメリットをもたらします。
特に、応答が1秒遅れるだけでコンバージョンが7%低下するという調査結果もあり、ビジネス成果に直結する重要な施策といえるでしょう。
もし技術的な実装に不安がある場合や、より専門的な最適化を検討している場合は、LandingHubのような表示速度改善に特化したサービスの活用も一つの選択肢です。専門知識を持ったチームによる包括的な最適化により、確実な成果を期待できます。
まずは今回ご紹介した基本的な改善項目から取り組み、段階的にサイトの表示速度を向上させていきましょう。ユーザーにとって快適で、検索エンジンにも評価される優れたWebサイトを目指して、継続的な改善に取り組んでいってくださいね。