「サイトが重くて、ボタンをクリックしても反応しない…」そんな経験をしたことはありませんか?これこそが、今回ご紹介するFirst Input Delay(FID)の問題です。
FIDは、ユーザーがWebページで最初にアクションを起こした時から、ブラウザが実際に応答するまでの遅延時間を測定する重要な指標です。2021年6月からGoogleの検索順位決定要因「Core Web Vitals」に組み込まれており、SEO対策の観点からも無視できない要素となっています。
本記事では、FIDの基本概念から具体的な改善方法まで、Web担当者の皆さんが実践できる内容を詳しく解説します。また、表示速度改善の専門知識を活かし、LandingHubでのソリューション事例も交えながら、実践的なアプローチをご紹介していきます。
目次
First Input Delay(FID)とは
First Input Delay(FID)は、直訳すると「初回入力遅延」という意味で、ユーザーが最初にページを操作してからブラウザが応答するまでの時間を計測する指標です。
具体的には、以下のような操作が対象となります:
- ボタンやリンクのクリック
- 画面のタップ
- キーボードでの入力
ただし、スクロールやピンチ操作(拡大・縮小)は対象外となります。これらの操作は、メインスレッドとは別のスレッドで処理されるためです。
FIDの評価基準
FIDのスコアは、以下の3段階で評価されます:
- 良好(Good):100ミリ秒以下
- 改善が必要(Needs Improvement):100~300ミリ秒
- 不良(Poor):300ミリ秒超
理想的には、ユーザーエクスペリエンスを最適化するため、FIDを100ミリ秒以下に抑えることが推奨されています。
Core Web Vitalsとの関係
FIDは、Googleが定める重要な指標群「Core Web Vitals」の一つです。Core Web Vitalsには以下の3つの指標があります:
- LCP(Largest Contentful Paint):最大のコンテンツの表示時間
- FID(First Input Delay):初回入力遅延
- CLS(Cumulative Layout Shift):累積レイアウトシフト
これらの指標は、2021年6月から検索順位のランキング要因として採用されており、SEO対策において重要な位置を占めています。
FIDの仕組み
FIDがどのように発生するのか、その仕組みを詳しく見てみましょう。
ブラウザの処理プロセス
Webページが読み込まれる際、ブラウザは以下のような処理を行います:
- ネットワークリクエスト:HTMLやCSS、JavaScriptなどのリソースをダウンロード
- パースと構築:HTMLをパースしてDOMを構築
- レンダリング:CSSを適用してページを描画
- JavaScript実行:スクリプトを実行してインタラクティブな機能を追加
この処理の大部分は、メインスレッドと呼ばれる単一のスレッドで実行されます。メインスレッドは、レンダリング、JavaScript実行、ユーザー入力処理など、多くの重要なタスクを担当しています。
FID発生のメカニズム
FIDが発生する典型的なシナリオは以下のとおりです:
- ページの一部が表示され、ユーザーがボタンをクリック
- しかし、メインスレッドはJavaScriptの処理で占有されている
- ユーザーの入力はキューに入り、メインスレッドが空くまで待機
- JavaScript処理が完了してから、ようやくクリック処理が実行される
この「入力からの待機時間」がFIDとして計測されるのです。
なぜ「初回」が重要なのか
FIDが「初回」の入力遅延に焦点を当てる理由は、ユーザーの第一印象を決定づけるためです。
初回訪問時の操作性が悪いと、ユーザーは以下のような印象を持ちます:
- 「このサイトは重い」
- 「操作しにくい」
- 「信頼できない」
これらの印象は、直帰率の増加やコンバージョン率の低下に直結します。実際に、弊社でLandingHubを使用してFIDを改善したクライアント様では、直帰率が平均20%改善されたケースもあります。
FIDの測定方法
FIDの現状を把握するため、以下のツールを使用して測定しましょう。
Google Search Console
Google Search Consoleは、サイト全体のCore Web Vitalsの状況を確認できる無料ツールです。
使用方法:
- Google Search Consoleにログイン
- 左メニューから「エクスペリエンス」→「ウェブに関する主な指標」を選択
- 「レポートを開く」をクリック
- モバイル・PC別のFIDスコアを確認
このツールでは、サイト全体の傾向を把握できますが、個別ページの詳細な分析には限界があります。
PageSpeed Insights
PageSpeed Insightsは、特定のページのパフォーマンスを詳細に分析できるツールです。
特徴:
- フィールドデータ:実際のユーザー環境での測定結果
- ラボデータ:シミュレーション環境での測定結果
注意点として、ラボデータではFIDは直接測定されません。代わりに「TBT(Total Blocking Time)」という指標が表示されます。TBTの改善がFIDの改善につながるため、この値を参考にしましょう。
Chrome DevTools
Chrome DevToolsを使用すると、より詳細な分析が可能です。
使用方法:
- Chromeで対象ページを開く
- F12キーでDevToolsを開く
- 「Performance」タブを選択
- 「Record」ボタンをクリックして測定開始
- ページを操作して測定停止
この方法では、メインスレッドの詳細な動作を確認でき、FID悪化の原因を特定できます。
FIDに影響する要因
FIDのスコアが悪化する主な要因を理解することで、効果的な改善策を講じることができます。
JavaScript関連の問題
FID悪化の最大の原因は、JavaScript処理によるメインスレッドのブロックです。
具体的な問題:
- 巨大なJavaScriptファイルの読み込み
- 非効率なコードの実行
- 同期的な処理の多用
- 重い計算処理
特に、現代のWebサイトではReactやVue.jsなどのSPAフレームワークが多用されており、これらの初期化処理がFIDに大きく影響することがあります。
サードパーティスクリプトの影響
以下のようなサードパーティスクリプトも、FIDの悪化要因となります:
- 広告スクリプト:Google Adsenseなどの広告配信
- 解析ツール:Google Analytics、Google Tag Manager
- SNSウィジェット:Facebook、Twitter、Instagram
- チャットツール:Intercom、Zendesk Chat
- A/Bテストツール:Optimizely、VWO
これらのツールは便利ですが、外部サーバーからのリソース読み込みに時間がかかるため、FIDに悪影響を与えることがあります。
リソースの読み込み問題
以下のような要因も、間接的にFIDに影響します:
- 大容量画像:圧縮されていない画像ファイル
- 非効率なCSS:未使用のスタイルが多い
- フォントの遅延読み込み:Webフォントのblocking
- サーバーレスポンス遅延:TTFB(Time to First Byte)の悪化
FIDの改善方法
ここからは、FIDを効果的に改善する具体的な方法をご紹介します。実際にLandingHubでクライアント様サイトを改善する際に使用している手法も含めて解説します。
JavaScriptの最適化
1. コード分割(Code Splitting)
大きなJavaScriptファイルを小さなチャンクに分割することで、初期読み込み時間を短縮できます。
実装例:
// 悪い例:すべてのコードを一度に読み込み
import { heavyFunction } from './heavy-module.js';
// 良い例:必要時に動的読み込み
const handleClick = async () => {
const { heavyFunction } = await import('./heavy-module.js');
heavyFunction();
};
この手法により、初期読み込み時間を30-50%削減できることがあります。
2. 未使用コードの除去
使用していないJavaScriptコードを削除することで、処理時間を短縮できます。
確認方法:
- Chrome DevToolsを開く
- 「Coverage」タブを選択
- 赤く表示された部分が未使用コード
弊社の経験では、未使用コードが全体の40-60%を占めているケースも珍しくありません。
3. JavaScriptの圧縮(Minification)
JavaScriptファイルを圧縮することで、読み込み時間を短縮できます。
推奨ツール:
- UglifyJS:ES5対応の圧縮ツール
- Terser:ES6+対応の圧縮ツール
- Webpack:ビルドプロセスに組み込み可能
圧縮により、ファイルサイズを20-40%削減できます。
非同期処理の活用
1. Web Workersの使用
重い処理をメインスレッドから分離することで、FIDを大幅に改善できます。
実装例:
// メインスレッド
const worker = new Worker('heavy-task.js');
worker.postMessage({data: largeDataSet});
worker.onmessage = (event) => {
console.log('処理完了:', event.data);
};
// heavy-task.js
self.onmessage = (event) => {
const result = heavyCalculation(event.data);
self.postMessage(result);
};
2. requestIdleCallbackの活用
ブラウザのアイドル時間を利用して処理を実行することで、メインスレッドの負荷を軽減できます。
実装例:
const scheduleWork = (tasks) => {
const runTasks = (deadline) => {
while (deadline.timeRemaining() > 0 && tasks.length > 0) {
const task = tasks.shift();
task();
}
if (tasks.length > 0) {
requestIdleCallback(runTasks);
}
};
requestIdleCallback(runTasks);
};
サードパーティスクリプトの最適化
1. 必要性の見直し
まず、本当に必要なサードパーティスクリプトのみを残すことが重要です。
見直しチェックリスト:
- このツールは現在も使用している?
- 代替手段はないか?
- より軽量な代替ツールはないか?
- 機能の一部だけで十分ではないか?
2. 遅延読み込みの実装
サードパーティスクリプトを必要時まで遅延させることで、FIDを改善できます。
実装例:
// ユーザー操作時に読み込み
const loadAnalytics = () => {
const script = document.createElement('script');
script.src = 'https://analytics.example.com/script.js';
document.head.appendChild(script);
};
// 3秒後に読み込み
setTimeout(loadAnalytics, 3000);
3. preconnectの活用
サードパーティドメインへの事前接続により、読み込み時間を短縮できます。
実装例:
<link rel="preconnect" href="https://googletagmanager.com">
<link rel="preconnect" href="https://google-analytics.com">
メインスレッドの最適化
1. Long Taskの分割
50ms以上かかるタスクを分割することで、メインスレッドの応答性を向上できます。
実装例:
// 悪い例:長時間のタスク
const processLargeArray = (array) => {
for (let i = 0; i < array.length; i++) {
// 重い処理
heavyProcess(array[i]);
}
};
// 良い例:分割処理
const processLargeArrayAsync = async (array) => {
for (let i = 0; i < array.length; i++) {
heavyProcess(array[i]);
// 定期的にメインスレッドを解放
if (i % 100 === 0) {
await new Promise(resolve => setTimeout(resolve, 0));
}
}
};
2. イベントハンドラーの最適化
イベントハンドラーの処理を軽量化することで、応答性を向上できます。
実装例:
// 悪い例:重い処理を直接実行
button.addEventListener('click', () => {
heavyCalculation();
updateUI();
});
// 良い例:軽量化された処理
button.addEventListener('click', () => {
// 即座にUI更新
updateUI();
// 重い処理は後で実行
setTimeout(() => {
heavyCalculation();
}, 0);
});
技術的な最適化手法
1. Service Workerの活用
Service Workerを使用してリソースをキャッシュすることで、読み込み時間を短縮できます。
実装例:
// service-worker.js
self.addEventListener('fetch', (event) => {
event.respondWith(
caches.match(event.request).then((response) => {
return response || fetch(event.request);
})
);
});
2. HTTP/2 Server Pushの活用
重要なリソースを事前にプッシュすることで、読み込み時間を短縮できます。
3. Resource Hintsの使用
ブラウザに対してリソースの読み込みヒントを提供することで、パフォーマンスを向上できます。
実装例:
<link rel="preload" href="critical.js" as="script">
<link rel="prefetch" href="non-critical.js">
LandingHubでのFID改善事例
弊社のLandingHubでは、多くのクライアント様サイトでFIDの大幅な改善を実現しています。ここでは、実際の改善事例をご紹介します。
事例1:ECサイトの改善
課題:
- 商品ページのFIDが800ms超
- カート追加ボタンの反応が遅い
- 直帰率が65%と高い
実施した改善:
- JavaScript最適化:未使用コードを60%削減
- 画像遅延読み込み:Intersection Observer API使用
- サードパーティスクリプト最適化:不要なツールを3つ削除
- CDN導入:静的リソースの配信最適化
結果:
- FID:800ms → 85ms(89%改善)
- 直帰率:65% → 45%(31%改善)
- コンバージョン率:1.2% → 1.8%(50%向上)
事例2:コーポレートサイトの改善
課題:
- 問い合わせフォームのFIDが500ms
- スマートフォンでの操作性が悪い
- 離脱率が高い
実施した改善:
- フォーム最適化:バリデーション処理の軽量化
- レスポンシブ対応:モバイルファースト設計
- プリロード最適化:重要リソースの事前読み込み
結果:
- FID:500ms → 70ms(86%改善)
- モバイルでの問い合わせ数:30%増加
- ページ滞在時間:25%向上
業界別のFID改善アプローチ
業界や業種によって、FIDの改善アプローチは異なります。ここでは、主要な業界別の特徴的な改善手法をご紹介します。
ECサイト
重要なポイント:
- 商品画像の最適化
- カート機能の軽量化
- 決済システムの最適化
- レコメンドエンジンの最適化
具体的な施策:
- 画像最適化:WebP形式への変換、適切なサイズ設定
- Ajax最適化:カート操作の非同期化
- プログレッシブ読み込み:商品一覧の段階的表示
メディアサイト
重要なポイント:
- 広告スクリプトの最適化
- SNSシェアボタンの最適化
- コメントシステムの軽量化
- 関連記事の最適化
具体的な施策:
- 広告遅延読み込み:スクロール時の動的読み込み
- SNSウィジェット最適化:軽量版の使用
- 無限スクロール最適化:適切なバッファサイズ設定
コーポレートサイト
重要なポイント:
- 問い合わせフォームの最適化
- 企業情報の効率的な表示
- 採用ページの最適化
- IR情報の最適化
具体的な施策:
- フォーム最適化:リアルタイムバリデーション
- コンテンツ最適化:重要情報の優先表示
- ナビゲーション最適化:軽量なメニューシステム
モバイルでのFID最適化
モバイルデバイスでは、PCと比較して処理能力が限られているため、FIDの最適化がより重要になります。
モバイル特有の課題
- 処理能力の制限:CPU性能がPCより劣る
- メモリ制限:利用可能メモリが少ない
- ネットワーク制限:通信速度が不安定
- バッテリー制限:省電力動作が必要
モバイル最適化の具体的手法
1. タッチ操作の最適化
実装例:
// タッチイベントの最適化
element.addEventListener('touchstart', handleTouch, { passive: true });
// 300msの遅延を回避
const handleTouch = (event) => {
// 即座にフィードバック
event.target.classList.add('active');
// 実際の処理は後で実行
setTimeout(() => {
// 重い処理
processAction();
}, 0);
};
2. レスポンシブ画像の最適化
実装例:
<img
srcset="image-320w.jpg 320w,
image-640w.jpg 640w,
image-1280w.jpg 1280w"
sizes="(max-width: 320px) 280px,
(max-width: 640px) 580px,
1200px"
src="image-640w.jpg"
alt="説明"
loading="lazy"
>
3. Critical CSS の最適化
モバイルでは、Above the Fold(画面に最初に表示される部分)のCSSを優先的に読み込むことが重要です。
実装例:
<style>
/* Critical CSS: Above the Fold */
.header { /* 重要なスタイル */ }
.hero { /* 重要なスタイル */ }
</style>
<link rel="preload" href="non-critical.css" as="style" onload="this.rel='stylesheet'">
FID改善のための開発フロー
FIDを継続的に改善していくためには、開発フローに組み込むことが重要です。
計画段階
1. パフォーマンス予算の設定
プロジェクト開始時に、パフォーマンス予算を明確に設定します。これは、パフォーマンスに関する制約を事前に決めておくことで、開発中の意思決定を効率化するためです。
設定例:
- FID:100ms以下(目標値)
- JavaScript総容量:300KB以下
- サードパーティスクリプト:5個以下
- メインスレッド使用時間:2秒以下
2. 技術選定での考慮
使用する技術やライブラリを選定する際は、FIDへの影響を必ず評価します。
評価項目:
- バンドルサイズ:ライブラリの容量
- 初期化時間:起動にかかる時間
- メモリ使用量:実行時のメモリ消費
- CPU使用率:処理負荷の程度
3. 設計段階での最適化
UI/UXの設計段階で、パフォーマンスを考慮した設計を行います。
設計原則:
- Critical Path優先:重要な機能を最初に読み込む
- Progressive Enhancement:段階的な機能追加
- Lazy Loading前提:必要時まで遅延する設計
開発段階
- コードレビュー:FIDに影響するコードの確認
- 単体テスト:個別機能のパフォーマンス測定
- 統合テスト:全体的なFIDスコアの確認
デプロイ段階
- ステージング環境での確認:本番環境に近い条件でのテスト
- A/Bテスト:改善効果の定量的な測定
- 段階的デプロイ:リスクを最小化したリリース
運用段階
- 継続的モニタリング:FIDスコアの定期的な監視
- アラート設定:閾値を超えた場合の通知
- 定期的な改善:月次・四半期でのパフォーマンス見直し
FIDと他の指標との関係
FIDは単独で存在するものではなく、他のパフォーマンス指標と密接に関係しています。
LCP(Largest Contentful Paint)との関係
LCPとFIDは相互に影響し合います:
- LCPが遅い場合:メインスレッドが忙しく、FIDも悪化しやすい
- LCPが改善される場合:メインスレッドに余裕ができ、FIDも改善される
同時改善の手法:
- Critical Resource Optimization:重要リソースの優先読み込み
- Progressive Enhancement:段階的な機能追加
- Lazy Loading:必要時まで遅延する読み込み
CLS(Cumulative Layout Shift)との関係
CLSとFIDは、以下の点で関連します:
- JavaScript処理:動的コンテンツの追加がCLSを引き起こす
- フォント読み込み:Webフォントの遅延がCLSとFIDの両方に影響
- 広告表示:広告の動的読み込みが両指標に影響
FIDからINPへの移行について
2024年3月より、GoogleはFIDに代わってINP(Interaction to Next Paint)をCore Web Vitalsの指標として採用しています。この変更について詳しく解説します。
INPとFIDの違い
項目 | FID | INP |
---|---|---|
測定対象 | 最初の操作のみ | すべての操作 |
測定内容 | 入力遅延時間 | 操作から描画までの時間 |
評価方法 | 初回のみ | 75パーセンタイル値 |
INPへの対応方法
FIDの改善手法の多くは、INPにも有効です:
- JavaScript最適化:引き続き重要
- メインスレッド最適化:より重要になる
- イベントハンドラー最適化:全操作が対象となる
追加で必要な対応:
- すべての操作の最適化:スクロール、クリック、タップすべて
- レンダリング最適化:描画処理の軽量化
- 継続的な監視:すべての操作の監視が必要
FID改善の効果測定
FIDの改善がビジネスに与える効果を適切に測定することが重要です。
技術的な指標
- FIDスコア:100ms以下を目標
- TBT(Total Blocking Time):300ms以下を目標
- Long Task数:50ms以上のタスクの削減
- JavaScript実行時間:メインスレッドの占有時間
ビジネス指標
- 直帰率:ページから離脱する割合
- コンバージョン率:目標達成の割合
- ページ滞在時間:ユーザーの滞在時間
- リピート率:再訪問の割合
測定ツールの活用
リアルタイム監視:
- Google Analytics:Core Web Vitalsレポート
- Search Console:ウェブに関する主な指標
- WebPageTest:詳細なパフォーマンス分析
定期的な分析:
- 月次レポート:FIDスコアの推移
- A/Bテスト:改善効果の定量的測定
- 競合分析:他社サイトとの比較
よくある質問(FAQ)
Q1: FIDが0msと表示されるのはなぜですか?
A: FIDが0msと表示される理由は以下の通りです:
- ユーザーが操作していない:FIDは実際のユーザー操作が必要
- メインスレッドがアイドル状態:操作時にメインスレッドが空いている
- 測定データが不足:十分な測定データが蓄積されていない
Q2: PageSpeed InsightsでFIDが表示されないのはなぜですか?
A: FIDが表示されない理由:
- フィールドデータ不足:実際のユーザーデータが28日間不足
- 新しいページ:公開されたばかりでデータが蓄積されていない
- アクセス数不足:十分なアクセス数がない
この場合は、TBT(Total Blocking Time)を参考にしてください。
Q3: FIDを改善してもSEO効果が感じられないのはなぜですか?
A: 以下の点を確認してください:
- 他の指標:LCPやCLSも同時に改善する必要
- コンテンツ品質:技術的改善だけでは不十分
- 競合状況:他社も同様の改善をしている可能性
- 時間的要因:SEO効果の反映には時間が必要
Q4: モバイルとPCでFIDのスコアが大きく異なるのはなぜですか?
A: 以下の要因が考えられます:
- 処理能力の違い:モバイルの処理能力が劣る
- ネットワーク環境:モバイルの通信速度が不安定
- メモリ制限:モバイルの利用可能メモリが少ない
- 実装の違い:レスポンシブ対応が不十分
FID改善の将来展望
Web技術の発展とともに、FIDの改善手法も進化しています。
新しい技術の活用
WebAssembly(WASM)
- 重い処理の高速化
- メインスレッドの負荷軽減
- ネイティブレベルの性能
HTTP/3
- より高速な通信
- リソース読み込みの最適化
- レスポンス時間の短縮
Edge Computing
- CDNの進化
- エッジでの処理実行
- レイテンシの削減
ブラウザの進化
新しいAPI
- Scheduler API:タスクの優先度制御
- Paint API:描画処理の最適化
- Intersection Observer v2:より効率的な監視
まとめ
First Input Delay(FID)は、ユーザーの第一印象を決定づける重要な指標です。本記事で解説した改善手法を実践することで、以下の効果が期待できます:
- ユーザーエクスペリエンスの向上:操作性の大幅な改善
- SEO効果:検索順位の向上
- ビジネス成果:コンバージョン率の改善
- 競合優位性:他社との差別化
FIDの改善は一度行えば終わりではなく、継続的な取り組みが必要です。定期的な測定と改善を行うことで、常に最適なパフォーマンスを維持できます。
もし、FIDの改善でお困りの場合は、LandingHubの専門チームがサポートいたします。豊富な改善実績をもとに、お客様のサイトに最適な解決策をご提案させていただきます。
Web技術の進歩とともに、パフォーマンス最適化の重要性はますます高まっています。今からFIDの改善に取り組むことで、将来にわたって競争優位性を維持できるでしょう。
ぜひ、本記事の内容を参考に、FIDの改善に取り組んでみてください。きっと、ユーザーの満足度向上とビジネス成果の改善を実感していただけるはずです。