レンダリングブロックとは?要因と回避する方法を紹介

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Webサイトの表示速度は、ユーザーエクスペリエンスとSEOの両方において極めて重要な要素です。特に近年では、Google のCore Web Vitalsが検索順位に直接影響することもあり、表示速度の改善は避けて通れない課題となっています。

その中でも「レンダリングブロック」は、Webページの読み込み速度を大幅に遅延させる主要な要因の一つです。本記事では、レンダリングブロックの仕組みから具体的な解決策まで、初心者の方でも理解できるよう詳しく解説していきます。

レンダリングブロックとは何か?

レンダリングブロックを理解するためには、まずWebページがブラウザに表示されるまでの流れを知る必要があります。

ブラウザがWebページを表示するまでの流れ

普段何気なく閲覧しているWebページですが、ページを表示するまでにブラウザは複数のステップを経て処理を行っています:

  1. リクエスト(Request) – サーバーにHTMLファイルを要求
  2. データロード(Download) – HTMLファイルとその他のリソースをダウンロード
  3. 画面描画(Painting) – ブラウザがHTML要素を画面に描画
  4. スクリプト実行(Scripting) – JavaScriptコードの実行

このうち、画面描画に関連する処理が重いことで画面描画が遅延してしまうことを「レンダリングブロック」と呼びます。

レンダリングブロックが起こる仕組み

ブラウザは基本的に、HTMLドキュメントを上から順番に読み込んでいきます。しかし、レンダリングに必要な情報が揃わない場合、ブラウザは「待機状態」に入ります。この待機状態がレンダリングブロックの正体です。

たとえば、HTMLドキュメントの中でCSSファイルが外部から読み込まれている場合、ブラウザはそのCSSファイルの読み込みが完了するまで、ページの描画を停止します。これは、CSSがページの見た目を決定する重要な要素であり、CSSが適用される前後でページの表示が大きく変わってしまうためです。

レンダリングブロックを誘発する主な要因

WebページはHTMLドキュメントなので、単純なHTMLドキュメントだけなら現在の端末ならページは一瞬で表示されます。レンダリングブロックを誘発するのは、以下のような要因が考えられます。

1. 深すぎるDOM構造

DOM(Document Object Model)構造が複雑で階層が深い場合、ブラウザがレンダリングする際の処理時間が長くなります。

例えば、以下のような深いネストはレンダリングブロックの要因となります:

<div>
  <div>
    <div>
      <div>
        <div>
          <p>深すぎるネスト</p>
        </div>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

現代のWebサイトでは、複雑なレイアウトを実現するためにDOM構造が深くなりがちです。特に、CSSフレームワークやJavaScriptライブラリを使用している場合、意図せずDOM構造が深くなることがあります。

2. 幅高さなどが規定されていない要素

画像やiframeなど、幅や高さがある要素をレンダリングする際、ブラウザは要素のサイズ情報を必要とします。

例えば、以下のような画像要素では、ブラウザは画像ファイルを読み込んでサイズを取得するまで待機します:

<!-- 悪い例 -->
<img src="large-image.jpg" alt="大きな画像">

この場合、画像ファイルのダウンロードが完了するまでレンダリングが遅延し、さらに画像が表示された瞬間にレイアウトが崩れる(Layout Shift)現象も発生します。

3. 外部ファイルの読み込み

レンダリングブロック対策というと一番にあげられるのが外部ファイルです。CSSやJavaScriptは外部ファイルに記述することが一般的になっていますが、外部ファイルにしてされていると、ブラウザはどうやってレンダリングすれば良いかがわからないため、外部ファイルのCSSやJavaScriptを読み込むまでレンダリングをストップします。

特に問題となるのは以下のケースです:

  • レンダリングブロックCSS – head要素内で読み込まれるCSSファイル
  • レンダリングブロックJavaScript – head要素内で読み込まれ、async/defer属性がないJavaScriptファイル
  • サードパーティスクリプト – 外部サービスのJavaScriptファイル

レンダリングブロックを回避する方法

レンダリングブロックを回避するための具体的な方法を、実装のしやすさと効果の高さの観点から詳しく解説します。

1. DOM構造はなるべくシンプルに

Webページに求められる表現力が高まっていることから、WebページのDOM構造が複雑で階層が深くなっていく傾向にあります。DOM構造が深すぎると、ブラウザがレンダリングする際に処理する時間がかかるため、なるべくシンプルなDOM構造にしておくのがベストです。

具体的な改善方法

改善前(深いネスト):

<div class="container">
  <div class="wrapper">
    <div class="inner">
      <div class="content">
        <div class="text-wrapper">
          <p>コンテンツ</p>
        </div>
      </div>
    </div>
  </div>
</div>

改善後(シンプルな構造):

<div class="container">
  <p class="content">コンテンツ</p>
</div>

CSSやJavaScriptを含まないシンプルなHTMLであればDOM構造が深くてもブラウザはすぐにレンダリングしてくれますが、CSSやJavaScriptが関連しない場合はDOM構造を深くする理由はないので、「DOM構造が深い = CSS/JavaScriptの処理が多い」というケースがほとんどです。

とはいえ、レイアウトの自由度もUX/UIを考えれば非常に重要ですので、レンダリングスピードとのバランスを考えるようにしましょう。

2. 幅高さなどが規定されていない要素をなくす

ブラウザは、画像やiframeなど幅や高さがある要素をレンダリングする際には、情報がないとレンダリングができません。例えば、画像だったらwidthやheightがimgタグに記述されていない場合は、画像ファイルからサイズを取ってくるまでレンダリングができません。

画像要素の最適化

改善前:

<img src="hero-image.jpg" alt="ヒーローイメージ">

改善後:

<img src="hero-image.jpg" alt="ヒーローイメージ" width="800" height="600">

または、CSSで固定サイズを指定する方法もあります:

<img src="hero-image.jpg" alt="ヒーローイメージ" style="width: 800px; height: 600px;">

アスペクト比の保持

レスポンシブデザインの場合、aspect-ratioプロパティを使用することで、アスペクト比を保持しながら要素のサイズを事前に確保できます:

<img src="hero-image.jpg" alt="ヒーローイメージ" style="width: 100%; aspect-ratio: 16/9;">

画像サイズがわからなくても、画像のサイズが大枠のレイアウトへの影響が少ない場合は一旦画像以外のHTMLドキュメントをレンダリングしますが、それでも画像部分にレンダリングの遅延が発生すると、画像を読んでからレンダリングするためカクつくことになります。

昔から言われている「img要素にはwidthとheightを必ず設定しなくてはならない」というのもここに原因があります。幅高さが決まっている画像などはしっかりとwidthとheightを固定値で指定することでレンダリングブロックを防げます。

3. 外部ファイルの読み込み最適化

外部ファイルの読み込みは、レンダリングブロックの最も大きな要因の一つです。以下の方法で最適化できます。

インライン化による最適化

HTTP/2.0に対応しているブラウザであれば、平行ダウンロードが可能なのでかつてほど遅延は起こりませんが、それでもHTMLとCSS/JavaScriptではファイルサイズが違うため「HTMLドキュメントと完全に同時にダウンロードが完了する」ことはなく、タイムラグはどうしても生じます。

そのため、最近では「大枠のレイアウトを規定するCSSやJavaScriptはHTMLのHEADに直書きする」という手法が採用されるようになりました。こうすることで、ユーザーが「ページが表示された」と認識できる最低限のページ要素(サイトロゴやページヘッダなど)を高速表示させて、その後に残り部分をレンダリングできます。

改善前:

<head>
  <link rel="stylesheet" href="styles.css">
</head>

改善後:

<head>
  <style>
    /* 重要なCSSをインライン化 */
    body { font-family: Arial, sans-serif; margin: 0; }
    .header { background: #333; color: white; padding: 20px; }
    .hero { height: 400px; background: #f0f0f0; }
  </style>
  <link rel="preload" href="styles.css" as="style" onload="this.onload=null;this.rel='stylesheet'">
</head>

JavaScriptの最適化

JavaScriptファイルには、async属性やdefer属性を付与することでレンダリングブロックを回避できます:

<!-- 非同期読み込み -->
<script src="script.js" async></script>

<!-- 遅延読み込み -->
<script src="script.js" defer></script>

実際に、Googleのトップページを見ても、CSSと最低限のJavaScriptはHTMLのHEAD要素に書かれていて、追加処理を別のJavaScriptで読み込んでいることがわかります。

HTMLドキュメントのサイズが若干増えてしまいますが、それでも10KBほどですので、高速通信が当たり前になった現在では問題になるサイズではありません。

レンダリングブロックを検出・測定する方法

レンダリングブロックを効果的に改善するには、まず現状を正確に把握する必要があります。以下のツールを使用して、レンダリングブロックの発生状況を測定しましょう。

1. Chrome DevTools

Google Chromeの開発者ツールを使用することで、詳細なレンダリング情報を取得できます:

  1. Chrome DevToolsを開く(F12キー)
  2. 「Performance」タブを選択
  3. 「Record」ボタンをクリックしてページを読み込み
  4. 「Main」セクションでレンダリングブロックを確認

2. PageSpeed Insights

GoogleのPageSpeed Insightsでは、レンダリングブロックリソースを自動的に検出し、改善提案を提供してくれます。特に「Eliminate render-blocking resources」の項目をチェックしましょう。

3. Lighthouse

LighthouseはChromeに内蔵されているWebページのパフォーマンス測定ツールです。Core Web Vitalsの測定も行え、レンダリングブロックの影響を定量的に把握できます。

実践的なレンダリングブロック対策

1. 重要なCSSの特定と分離

Above the fold(画面上部の見える部分)のスタイルを特定し、これらを優先的にインライン化します:

<style>
/* Above the fold のスタイル */
.header,
.hero,
.main-navigation {
  /* 重要なスタイル */
}
</style>

<!-- 残りのCSSは遅延読み込み -->
<link rel="preload" href="remaining-styles.css" as="style" onload="this.rel='stylesheet'">

2. リソースの優先順位付け

リソースヒントを使用して、ブラウザにリソースの優先度を伝えます:

<!-- 重要なリソースを事前読み込み -->
<link rel="preload" href="critical-font.woff2" as="font" type="font/woff2" crossorigin>
<link rel="preload" href="hero-image.jpg" as="image">

<!-- 低優先度のリソースは事前接続のみ -->
<link rel="preconnect" href="https://fonts.googleapis.com">
<link rel="preconnect" href="https://analytics.google.com">

3. 画像の最適化

現代の画像最適化には、以下のテクニックを組み合わせます:

<!-- 遅延読み込み + アスペクト比保持 -->
<img src="placeholder.jpg" 
     data-src="actual-image.jpg" 
     alt="説明文" 
     width="800" 
     height="600" 
     loading="lazy"
     style="aspect-ratio: 4/3;">

レンダリングブロック対策の効果測定

レンダリングブロック対策の効果を測定するために、以下の指標を追跡しましょう:

Core Web Vitals

  • LCP(Largest Contentful Paint) – 最大のコンテンツ要素が表示されるまでの時間
  • FID(First Input Delay) – 最初のユーザー操作に対する応答時間
  • CLS(Cumulative Layout Shift) – レイアウトの安定性

その他の重要な指標

  • FCP(First Contentful Paint) – 最初のコンテンツが表示されるまでの時間
  • Speed Index – ページの視覚的な完成度
  • TTI(Time to Interactive) – ページが操作可能になるまでの時間

よくある質問とトラブルシューティング

Q1: インライン化するCSSのサイズの目安は?

一般的には、インライン化するCSSのサイズは14KB以下に抑えることが推奨されています。これは、TCPの初期スロークリーンアップウィンドウのサイズに基づいています。

Q2: 外部CSSファイルを完全にインライン化すべき?

すべてのCSSをインライン化する必要はありません。Above the fold(画面上部)のスタイルのみをインライン化し、残りは遅延読み込みする方が効率的です。

Q3: サードパーティスクリプトの影響は?

Google Analytics、Facebook Pixel、広告スクリプトなどのサードパーティスクリプトは、レンダリングブロックの大きな要因となります。これらは可能な限り遅延読み込みするか、非同期で読み込みましょう。

LandingHubでのレンダリングブロック対策

当サービス「LandingHub」では、レンダリングブロック対策を含む包括的な表示速度改善機能を提供しています。

LandingHubの表示速度改善機能

  • 自動CSS最適化 – 重要なCSSの自動インライン化
  • 画像最適化 – 自動的な画像圧縮とWebP変換
  • リソース最適化 – JavaScriptの最適化と遅延読み込み
  • CDN配信 – 高速コンテンツデリバリーネットワーク

特に、ランディングページにおいては、ファーストビューの表示速度が直接的にコンバージョン率に影響するため、レンダリングブロック対策は極めて重要です。LandingHubでは、これらの技術的な最適化を自動的に行うことで、開発者の負担を軽減しながら高いパフォーマンスを実現しています。

まとめ

レンダリングブロックは、現代のWebサイトにおいて避けて通れないパフォーマンス上の課題です。しかし、適切な対策を講じることで、大幅な改善を実現できます。

本記事で紹介した主な対策をまとめると:

  1. DOM構造の最適化 – 深いネストを避け、シンプルな構造を心がける
  2. 要素サイズの事前指定 – 画像やiframeには必ずwidth/heightを設定
  3. 外部ファイルの最適化 – 重要なCSSはインライン化、JavaScriptは適切な読み込み方法を選択
  4. 継続的な測定と改善 – ツールを使用して定期的にパフォーマンスを測定

ページに訪問したユーザーにコンテンツを出来るだけ速く提供することは現在では必須の条件とも言われているので、しっかりと対応するようにしましょう。表示速度の改善は、ユーザーエクスペリエンスの向上だけでなく、SEO効果やコンバージョン率の改善にも直結する重要な投資です。

レンダリングブロック対策を通じて、より高速で快適なWebサイトを構築し、ユーザーにとって価値のあるデジタル体験を提供していきましょう。

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