結論：フォント変換は目的で選べば迷いません。WebはTTF/OTFをWOFF2へ。印刷はPDFに埋め込み。互換は形式置換と代替設定です。
専門用語が多く戸惑いやすい分野です。まず目的を固めます。すると正解手順がすぐ決まります。本稿は最短ルートを示します。
本記事では目的別3ステップを提示します。安全なツールも示します。ライセンスと失敗対策もまとめます。最後にFAQで疑問を解決します。
目次
フォント変換の最短手順と目的別フローチャート【まずはここから】
要点
- 最初に目的を一つ選びます。
- 入力形式と出力形式を決めます。
- 推奨ツールで変換し検証します。
- ライセンスと配布形態を確認します。
分岐の考え方
- Web表示 → TTF/OTF → WOFF2＋サブセット。
- 印刷PDF → フォント埋め込み。必要時のみアウトライン。
- 文書互換 → PDF/A出力か代替フォント設定。
- ロゴ/見出し → 必要グリフのみ抽出し軽量化。
フォント変換とは？定義・範囲（形式変換／サブセット化／埋め込み／アウトライン）
要点
- 形式変換は拡張子の入替です。
- サブセット化は使用文字のみ抽出です。
- 埋め込みはPDFへフォント同梱です。
- アウトライン化は文字をパス化です。
形式変換はTTFやOTFを別形式にします。用途で最適形式は変わります。サブセットは容量削減に有効です。PDFは埋め込みで崩れを防ぎます。
アウトライン化は再編集不可です。印刷の安定性は高まります。長文は検索性が落ちます。用途で使い分けます。
目的別：最短3ステップでできるフォント変換（Web／印刷PDF／文書互換／ロゴ）
準備チェックリスト
- 目的：Web/印刷/互換/ロゴのどれか。
- 入力形式：TTF/OTF/PDF/画像の確認。
- 出力形式：WOFF2/PDF/Aなど。
- 文字セット：日本語の範囲を決めます。
- 配布形態：公開/社内/個人のいずれか。
- ライセンス：改変と再配布の可否。
- 環境：Windows/Mac/CLIかを選びます。
- 品質要件：可読性とサイズの基準。
Web向け：TTF/OTF → WOFF2＋サブセット化（3ステップ）
- 選定：配布形式はWOFF2を基本にします。
- 変換：GUIまたはfonttoolsで変換します。
- 検証：主要ブラウザで表示を確認します。
コマンド例（参考）
- サブセット化：pyftsubset font.ttf --text-file=chars.txt --flavor=woff2
- 既存WOFF2化：woff2_compress font.ttf
- CSS例：@font-face＋unicode-range
セルフチェック
- 欠落文字が無いか。テスト文で確認。
- 合字と約物が崩れないか。
- フォールバックが設定済みか。
印刷・入稿向け：PDFのフォント埋め込み／アウトライン化（3ステップ）
- 選定：基本は埋め込みを優先します。
- 変換：アプリでPDF/XやPDF/Aで出力。
- 検証：プリフライトで欠落を確認します。
Windows/Macの要点
- Illustrator：PDF保存で「フォント埋め込み」。
- 外字やロゴはアウトラインを選びます。
- 長文は埋め込みで可読性を保ちます。
社内資料・互換確保：フォント形式の置換と代替設定（3ステップ）
- 選定：全端末配布は避けます。
- 変換：PDF/Aで埋め込み出力します。
- 検証：他端末で表示崩れを確認します。
ポイント
- 再配布不可の回避に有効です。
- 代替フォントを文書側で指定します。
- 更新頻度が高い資料に有効です。
ロゴ・見出し専用：必要グリフのみ抽出して軽量化（3ステップ）
- 選定：使う文字を列挙します。
- 変換：抽出＋WOFF2へ変換します。
- 検証：拡大縮小と印刷で確認します。
注意
- アウトライン化後は再編集不可です。
- カーニングが変化しないか確認します。
- ブランドカラーの見え方も確認します。
主要形式の違いと選び方：TTF／OTF／WOFF／WOFF2／EOT／SVG
要点
- WebはWOFF2が第一候補です。
- デスクトップはTTF/OTFです。
- 古環境はWOFFやEOTで補完します。
- SVGフォントは特殊用途です。
| 形式 | 用途 | 圧縮 | 互換性 | 実装難易度 | サイズ目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| TTF | OS/アプリ | 低 | 高 | 易 | 大 |
| OTF | OS/印刷 | 低 | 高 | 易 | 大 |
| WOFF | Web | 中 | 広 | 中 | 中 |
| WOFF2 | Web | 高 | 新 | 中 | 小 |
| EOT | 旧IE | 中 | 旧 | 高 | 中 |
| SVG | 旧iOS等 | 中 | 狭 | 高 | 中 |
TTF vs OTF：どちらをいつ使う？
両者は一般用途で同等です。OTFは機能拡張に強いです。TTFは互換が広いです。配布より利用環境で選びます。
WOFF vs WOFF2：圧縮率・互換性・実装難易度
- 圧縮率：WOFF2が優れます。
- 互換性：WOFFがやや広いです。
- 実装：WOFF2＋WOFFの併用が安全です。
日本語特有の注意：文字セット・縦書き・約物・合字・可変フォント
要点
- 日本語は文字数が非常に多いです。
- サブセット設計で大幅に軽くなります。
- 縦書きや合字の確認が重要です。
- 約物の抜け漏れに注意します。
テンプレ（例）
- 最小UI：ひらがな＋カタカナ＋記号。
- Web本文：上記＋頻出漢字2,000。
- 学習向け：JIS第一水準を中心にします。
検証セット例
- 句読点、ダッシュ、カギ括弧。
- 全角スペース、三点リーダ。
- 縦中横、ルビ、合字の動作。
安全なツール選定：オンライン／オフライン（GUI・CLI）比較と推奨
要点
- 機密はオフラインが安全です。
- 再現性はGUIよりCLIが高めです。
- 日本語はサブセット対応を重視します。
| 種別 | 利点 | 注意 | 向き |
|---|---|---|---|
| オンライン | 手軽・導入不要 | 漏えい懸念 | 試用 |
| GUI | 操作が直感的 | バッチ弱い | 単発 |
| CLI | 自動化に最適 | 学習要 | 定常 |
代表例
- GUI：FontForgeなど。
- CLI：fonttools、woff2ツールなど。
- PDF：Illustratorや各種PDF出力。
ライセンスと商用利用：変換・配布の可否チェックリスト
要点
- 変換可否は条項で決まります。
- 再配布の可否を必ず見ます。
- 商用利用の範囲を確認します。
- 改変可否（変換は改変に該当）。
- 埋め込み可否と範囲（印刷/閲覧）。
- 再配布の可否（Web配信は配布）。
- クレジット表記の要否。
- 社内配布の扱い（人数制限）。
トラブル解決：文字化け・欠落グリフ・ファイル肥大化の原因と対処
要点
- 文字化けは原因切り分けが重要です。
- 欠落はサブセットの漏れが多いです。
- 肥大は文字範囲が広すぎます。
- エンコード確認と別フォント比較。
- テスト文字列で抜けを特定します。
- unicode-rangeで分割配信します。
- ヒンティングや合字設定を確認。
自動化と運用：CLI例・CI/CD組み込み・チェックリスト
要点
- 定常作業は自動化が有効です。
- CLIは再現性が高いです。
- 検証も自動で走らせます。
ワークフロー例
- pyftsubsetで抽出とWOFF2化。
- CSS生成とpreload設定。
- ブラウザテストを自動実行。
- サイズとLCPの記録を保存。
運用チェック
- サイズ閾値を超えないか。
- 欠落グリフが出ていないか。
- フォールバックが機能するか。
FAQ：フォント変換のよくある質問（構造化データ対応）
フォント変換は違法ですか？商用利用の注意点は？
結論：条項次第で違法となり得ます。理由は変換が改変や再配布に当たるためです。まず改変・埋め込み・配布の可否を確認。商用は範囲を確認し、不明なら作者へ相談します。
TTFとOTFはどちらがWeb向きですか？
結論：どちらでも構いません。理由はWeb配信はWOFF2に変換するためです。手順はTTF/OTF→WOFF2→CSS登録です。互換用にWOFFも併用すると安心です。
WOFFとWOFF2の違いは？変換すべきですか？
結論：WOFF2へ変換推奨です。理由は圧縮率が高く転送が軽いからです。実装はWOFF2を優先し、旧環境向けにWOFFを併記します。表示テストも行います。
PDFでフォントを埋め込む方法とアウトライン化の違いは？
結論：基本は埋め込みです。理由は可読性と検索性を保てるためです。外字やロゴはアウトライン化が安全です。PDF/XやPDF/Aで出力し、プリフライトで確認します。
日本語フォントをサブセット化すると何が削られますか？
結論：不要文字が削られます。理由は指定範囲のみを残す方式だからです。約物や合字が抜けやすいです。テスト文字列で検証し、足りなければ再抽出します。
オンライン変換は安全ですか？情報漏えいのリスクは？
結論：機密は避けます。理由はサーバ保存や通信で漏えいの恐れがあるためです。社外秘はオフラインで処理します。利用時は規約と削除ポリシーを確認します。
フォント変換後に文字化けする原因は？
結論：サブセット漏れが最多です。理由は必要字形が含まれないためです。次点はエンコード差です。テスト文で再現し、不足分を追加抽出します。代替も設定します。
WindowsとMacで手順は違いますか？
結論：概念は同じです。理由は出力形式が共通だからです。操作場所が異なるだけです。PDF出力設定とフォント名解決に注意し、両OSで相互確認します。
可変フォント（Variable Font）も変換できますか？
結論：可能です。理由はOpenType準拠でWOFF2配信に対応するためです。ただし軸の互換やサイズに注意します。必要軸のみを残し、実機で描画を確認します。
用語ミニ辞典：初心者がつまずく専門用語をやさしく解説
基本用語
- TTF/OTF：OS向け主要形式です。
- WOFF/WOFF2：Web配信用形式です。
- サブセット化：使用文字だけにします。
- 埋め込み：PDFへ同梱します。
- アウトライン化：文字をパスにします。
実例とテンプレ：効果と落とし穴を短時間で把握
要点
- サイズ削減は効果が大きいです。
- 約物抜けは頻出の失敗です。
- フォールバックは必ず設定します。
成功例
- TTF→WOFF2＋分割で-80%以上。
- 本文埋め込み＋見出しアウトライン。
- PDF/A採用で互換トラブルゼロ。
失敗例と回避
- 約物漏れ → テンプレ文字列で検証。
- WOFF2のみ → WOFFも併記します。
- 再配布違反 → PDF配布で回避。
まとめ：最短手順の再確認と次アクション
重要ポイント
- フォント変換は目的で決めます。
- WebはWOFF2＋サブセットが基本です。
- 印刷は埋め込み。外字はアウトライン。
- 互換はPDF/Aや代替設定で対応。
- ライセンスと検証を必ず実施します。
次の一歩です。用途を一つ選びます。入力と出力形式を決めます。推奨ツールで変換し、テスト文字で検証します。フォント変換はこの流れで十分です。
