空調設備・給排水設備・衛生設備の違いを即答します。空調は室内環境の制御です。給排水は水の供給と排出です。衛生は器具と衛生管理です。まず早見表で全体像を掴みます。
専門用語が多く戸惑う方も安心です。図解と表で要点を示します。点検頻度と一次対応も載せます。東京都の要点も補足します。
本記事は定義→構成→点検→対応→比較→法令→更新→季節→用語の順です。チェックリストと手順を添えます。PDF化もしやすい構成です。すぐ使える実務情報です。
目次
空調設備・給排水設備・衛生設備の違いを30秒で理解:定義・役割・代表機器の早見表
- 結論: 三設備は役割が異なります。
- 空調=温湿度と空気質、給排水=水の流れ。
- 衛生=器具と衛生維持、臭気遮断です。
- 代表機器と点検頻度も併記します。
区分 | 定義/役割 | 代表機器 | 主な配管/ダクト | 基本点検頻度 |
---|---|---|---|---|
空調設備 | 温度・湿度・換気の制御 | チラー/ヒートポンプ/VAV/VRF/換気扇 | ダクト/冷媒管/ドレン配管 | 月次:フィルター 年次:性能 |
給排水設備 | 給水と排水の移送 | ポンプ/受水槽/加圧装置/減圧弁 | 給水管/排水管/通気管 | 週次:漏れ 月次:圧力 |
衛生設備 | 衛生器具と衛生管理 | 便器/手洗い/給湯器/グリーストラップ | 器具接続管/トラップ | 週次:清掃 月次:封水 |
関連語: ダクト/配管/ポンプ/逆流防止/換気量/給湯/漏水/保守。
【5分で要点】基本構成(機器・配管・制御)を図解で解説
- 三設備は「機器+配管+制御」の組です。
- 空調は熱源・空気系・制御の三要素です。
- 給排水は圧力と勾配の管理が要です。
- 衛生はトラップの封水が命です。
空調設備:基本構成3要素(熱源・空気系・制御)
空調は三層で考えます。熱源はチラー等です。空気系はダクトと末端です。制御はセンサーです。
- 熱源: チラー/ボイラー/HP。
- 空気系: AHU/FCU/VAV/VRF。
- 制御: 温湿度/CO2/差圧の自動制御。
給排水設備:給水方式の3類型と排水の勾配・通気の基本
給水は方式選定が要です。直結直圧/増圧/受水槽の三類型です。排水は勾配と通気で詰まりを防ぎます。
- 給水: 直結直圧/増圧/受水槽。
- 排水: 勾配1/50〜1/100目安。
- 通気: サイホン作用を抑制。
衛生設備:器具選定と衛生・臭気対策の基本
衛生は器具と清掃が柱です。トラップ封水を保ちます。逆流防止で汚染を防ぎます。
- 器具: 便器/洗面/給湯器。
- 封水: 50±10mmを目安。
- 逆流防止: バックフローを遮断。
【図解】代表機器:チラー・ボイラー・ポンプ・換気扇・トイレ・給湯器
代表機器を関連付けます。チラーは冷水を作ります。ポンプは圧力を供給します。トイレは封水で臭気を遮断します。
点検・保守:頻度早見表とチェックリスト(空調/給水/排水/衛生の3ステップ)
- 点検は日次/週次/月次/年次で区切ります。
- 安全→観察→測定の順で実施します。
- 所要時間と工具を明記します。
- 異常時は記録し再発防止へ。
チェックリスト:日次/週次/月次/年次で見るべき5項目
頻度 | 空調 | 給水 | 排水 | 衛生 |
---|---|---|---|---|
日次 | 運転音/風量/設定 | 漏れ/圧力計 | 臭気/排水速度 | 器具動作/清掃 |
週次 | フィルター目視 | バルブ開閉 | トラップ水位 | グリース清掃 |
月次 | 差圧/吹出温度 | 流量/メーター | 通気確認 | 封水深50mm |
年次 | 性能/冷媒漏えい | ポンプ整備 | 配管内視点検 | 器具交換検討 |
- 安全確認: 感電・漏水を確認。
- 観察: 音・臭・温度を確認。
- 測定: 温度/圧力/水位を測ります。
トラブル原因と一次対応:漏水・悪臭・空調が効かない時の初動手順
- まず安全を確保します。
- 次に停止や遮断を行います。
- 最後に原因を切り分けます。
- 記録と復旧で再発を防ぎます。
一次対応フロー:危険有無→停止/遮断→原因切り分け→記録→復旧
- 危険確認: 漏電・ガス・躓きなし。
- 停止/遮断: 該当系統のみを止めます。
- 原因切り分け: 設定/詰まり/故障を区分。
- 記録: 写真と数値を残します。
- 復旧: 仮復旧し監視します。
セルフチェックを活用します。空調は吹出温度を見ます。給水は水圧を見ます。排水は封水と臭気です。
- 空調: 風量/温度/フィルター。
- 給水: 圧力/流量/バルブ。
- 排水: 排水速度/封水/通気。
- 衛生: 器具作動/逆流防止。
方式比較・選び方:空調(VRF/VAV/個別/中央)・給水(直結直圧/増圧/受水槽)・排水配管材・熱源
- 比較軸は5点です。
- 初期費/運用費/省エネ/保守/更新性です。
- 建物規模と運転時間も考慮します。
- 根拠を記録して選定します。
対象 | 方式 | 主な長所 | 留意点 | 向く規模 |
---|---|---|---|---|
空調 | VRF | 部分負荷効率が高い | 冷媒量管理が重要 | 小中規模 |
空調 | VAV | 中央で空気量最適化 | ダクト大/制御調整要 | 中大規模 |
給水 | 直結直圧 | 水質良好/槽不要 | 原圧条件の確認要 | 低中層 |
給水 | 受水槽 | 安定供給が容易 | 清掃と衛生管理必須 | 中大規模 |
排水材 | VP/HT/PB/SUS | 施工性や耐熱で選定 | 温度と薬品に注意 | 用途で選択 |
熱源 | チラー/HP/ボイラー | 効率と熱需要で選択 | 設置空間と排熱考慮 | 規模別 |
関連法令・基準の要点まとめ(東京都/全国)と原典リンク集
- 全国共通の法令を確認します。
- 東京都のローカル要件も確認します。
- 直結給水と下水の要点は重要です。
- 原典で最終確認を行います。
全国: 建築基準関連と省エネ関連です。法令基準は改正があり得ます。原典の確認が必須です。
東京都: 建築設備の手引です。水道局の直結基準です。下水道のグリース規定です。省エネ制度も確認します。
更新・省エネの判断基準:費用概算レンジとLCCテンプレート
- LCCで総額を比較します。
- 初期費+運転費+保守費+更新費です。
- 運転時間と電力単価を明示します。
- 補助金の有無も確認します。
更新判断は数値で行います。省エネ率と稼働時間を入れます。三年分の実績があると精度が上がります。
季節・停電・災害に備える:夏/梅雨/冬/台風の設備対策
- 夏は除湿と外気導入が要です。
- 梅雨はカビと結露に注意です。
- 冬は凍結防止が重要です。
- 台風時は停電初動を準備します。
- 夏: フィルター清掃強化。
- 梅雨: 連続換気と拭き上げ。
- 冬: 露出管の保温とドレン対策。
- 停電: 手動弁位置と手順の確認。
用語ミニ事典:ダクト・VAV・トラップ・逆流防止など図で理解
- VRF: 可変冷媒流量です。
- VAV: 可変風量の中央方式です。
- Pトラップ: 封水で臭気遮断です。
- 静圧: ダクトの空気圧です。
- LCC: 生涯費用評価です。
クイック診断(1分)と詳細診断(3分)
- 用途を選びます。
- 症状を選びます。
- 安全確認をします。
- 直近の停電や工事を確認します。
- 測定値を入れます。
- 家庭/オフィス/店舗の選択。
- 症状: 風弱い/臭い/漏水/水出ない。
- 安全: 漏電/ガス/転倒危険なし。
- 履歴: 停電/工事/設定変更の有無。
- 測定: 吹出温度/水圧/封水深。
- 結果: 自力/要業者/危険を表示。
- 行動: 3分/10分/30分で実施。
実践例と失敗例で学ぶ
- 小規模オフィス: 差圧で交換管理。
- 飲食店舗: 封水深を定量管理。
- 集合住宅: 直結直圧で更新。
成功は数値化が鍵です。失敗は基準不在で発生します。前提条件を明確にします。
FAQ(よくある質問)
空調設備とは何のことですか?
結論: 室内の温湿度と空気質を制御する設備です。理由: 熱源・空気系・制御で成り立ちます。VAVやVRFが代表です。助言: 月1でフィルター確認、年1で性能点検を行います。
給排水設備と衛生設備の違いは?
結論: 給排水は水の移送系、衛生は器具と衛生管理です。理由: 前者は圧力と勾配管理、後者は封水と清掃が要です。助言: 週1で漏れと封水深50mmを確認します。
空調設備の点検頻度はどのくらい?
結論: 目安は月次と年次です。理由: 月次でフィルターと差圧、年次で性能確認が必要です。助言: 夏前と冬前に追加点検を入れると安心です。
漏水時の応急処置は何をすべき?
結論: まず遮断、次に拭き取り、最後に記録です。理由: 被害拡大と感電を防ぎます。助言: 元弁位置を平時に確認し、写真で残しておきます。
トイレの逆流・悪臭の原因は?
結論: 多くは封水切れです。理由: 蒸発やサイホン作用で水位低下します。助言: 週次で封水深50±10mmを確認し、通気も点検します。
省エネのために今すぐできる対策は?
結論: フィルター清掃と設定最適化です。理由: 風量損失と過冷暖を防ぎます。助言: 冷房26±1℃、暖房20±1℃を基準に調整します。
リニューアル時に費用を抑えるコツは?
結論: LCCで案比較を行います。理由: 初期費だけでなく運転・保守費が効きます。助言: 既存再利用と段階更新を組み合わせます。
まとめと次の一手
- 三設備の役割を分けて理解します。
- 点検は頻度を決めて実施します。
- 一次対応は安全最優先です。
- 方式は5軸で比較します。
- 法令は原典で最終確認します。
空調設備・給排水設備・衛生設備の基礎は以上です。定義と点検と対応を押さえれば安心です。最後にチェックリストを保存し、次回の点検に備えます。