生理中なのになぜか性欲が抑えられない、普段以上にムラムラしてしまう……そんな自分自身に戸惑いや罪悪感を抱いていませんか?生理痛や不快感があるはずなのに、身体が性的快感を求めてしまうという矛盾は、多くの女性にとって悩みや不安の種になりがちです。「こんなことを考えるのは自分だけではないか」「もしかして変態なのではないか」と思い詰めてしまう方もいらっしゃいますが、どうぞ安心してください。実はその現象、あなただけではなく、多くの女性が経験するごく自然な体のメカニズムなのです。
生理中の性欲増進には、ホルモンバランスの変動や骨盤内の血流状態など、明確な医学的根拠が存在します。本記事では、生理中にムラムラしてしまう医学的な理由から、衛生的かつ安全にその欲求を解消するための具体的な方法、さらにはパートナーとの上手な付き合い方までを徹底解説します。正しい知識を身につけ、自分の体の声と上手に付き合っていくための参考にしてください。
目次
生理中にムラムラするのは異常?多くの女性が抱える「性欲」の真実
生理中に強い性欲を感じることに罪悪感を抱く必要はありません。自分だけがおかしいのではないかと不安になる方も多いですが、これは女性の身体の構造上、ある種必然的に起こりうる生理現象の一つです。実際、多くの女性向けアンケートや調査においても、生理前や生理中に性欲が高まると回答する女性は決して少数派ではありません。むしろ、体が正常に機能している証拠であるとも捉えられます。
なぜ出血や痛みを伴う時期に、逆説的とも言える「性欲」が湧いてくるのでしょうか。ここでは、生理中の性欲に関する実態と、それが引き起こされる身体的なメカニズムについて詳しく解説します。原因を知ることで、自分自身の体を肯定的に受け止められるようになるはずです。ホルモン、物理的な刺激、そして心理的な要因の3つの側面から紐解いていきましょう。
生理中に性欲が増すのは「ホルモンバランス」の変動が最大の要因
女性の体は、月経周期に合わせて劇的なホルモンバランスの変化を繰り返しています。生理中に性欲が増す最大の要因として考えられるのが、このホルモンの変動です。通常、排卵後から生理直前までは「プロゲステロン(黄体ホルモン)」というホルモンが多く分泌されています。このホルモンは妊娠を維持するためのもので、体を休ませようとする働きがあるため、一般的に性欲は減退傾向になります。
しかし、生理が始まるとこのプロゲステロンの分泌量が急激に低下します。一方で、次の排卵に向けて「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌が徐々に始まろうとする時期でもあります。このホルモンの切り替わりのタイミングにおいて、一時的に男性ホルモン(テストステロン)の働きが相対的に優位になったり、ホルモンバランスの急激な変化が脳の性欲中枢を刺激したりすることで、強い性衝動を感じる場合があるのです。これは脳の化学反応によるものであり、意思の力でコントロールできるものではありません。
エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の関係
さらに詳しく見ていくと、エストロゲンとプロゲステロンのバランス関係が鍵を握っています。生理が始まると、それまで分泌されていたプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)の両方が一度低いレベルまで下がります。この「ホルモンの底」とも言える状態から、生理の後半に向けてエストロゲンが再上昇を始めます。エストロゲンは女性らしさをつくるホルモンであると同時に、気分を明るくし、活動的にさせる作用があります。このエストロゲンの上昇カーブに入ると、心身ともに活動モードに切り替わり、それに伴って性的な関心や感度も高まっていく傾向があります。つまり、生理の始まりから終わりにかけてのホルモンの「リセットと再始動」が、性欲のスイッチを入れるきっかけになっているのです。
生理直前のPMS(月経前症候群)からの解放感とリラックス効果
生理前はPMS(月経前症候群)の影響で、イライラしたり、気分が落ち込んだり、身体がむくんだりと、心身ともに強いストレス状態にあることが多いです。この時期は「不快」が勝り、性欲どころではないという方も少なくありません。しかし、いざ生理が始まると、PMSの原因となっていた黄体ホルモンの急減により、それまでの不快な症状から一気に解放されることがあります。この「身体的・精神的な緊張からの解放」が、一種のリラックス効果を生み出します。ストレスから解放された安堵感や副交感神経への切り替わりが、結果として性的な受容性を高め、ムラムラするという感覚につながる場合があるのです。緊張の糸が切れた瞬間に欲求が高まるのは、人間の心理としても自然な反応と言えます。
骨盤内の「うっ血」がクリトリスへの刺激を敏感にさせている
ホルモンバランス以外の物理的な要因として、「骨盤内のうっ血」が挙げられます。生理中は、経血を体外に排出するために子宮が収縮を繰り返しており、骨盤周りには普段以上に多くの血液が集まっています。この現象を「骨盤内充血」と呼びます。血液が集まることで、子宮だけでなく、その周辺にある膣やクリトリスなどの性器周辺も充血し、普段よりもわずかな刺激に対して敏感になっている状態です。
この「充血による圧迫感」や「重だるさ」は、実は性的興奮時の身体反応と非常によく似ています。そのため、脳がこの骨盤周りの充血感を「性的興奮」として錯覚して捉えてしまうことがあります。また、実際に神経が過敏になっているため、下着の摩擦や座った時の圧迫などの些細な刺激が、普段以上の強い快感やムラムラ感として脳に伝達されることも珍しくありません。これは身体構造上の物理的な反応であり、生理痛の鈍痛と性的興奮が紙一重の感覚として混在する理由の一つです。
「生理中だからダメ」という心理的な禁止令が逆に興奮を招くカリギュラ効果
身体的な要因だけでなく、心理的な要因も大きく関わっています。人間には「禁止されればされるほど、かえってその物事に惹かれてしまう」という心理作用があり、これを心理学用語で「カリギュラ効果」と呼びます。「生理中だからエッチなことはしてはいけない」「汚れるからダメだ」「不潔だ」と自分自身に強く禁止令を出せば出すほど、意識はかえって性的なことに向いてしまい、性欲が増幅されてしまうのです。
特に、普段から真面目な性格の方や、清潔感を重視する方ほど、「生理中の性行為はタブーである」という意識が強く働く傾向があります。このタブー意識が逆説的に興奮剤のような役割を果たし、背徳感と相まって普段よりも強い性的衝動を引き起こすことがあります。また、経血という「生々しい身体の営み」を目の当たりにすることで、本能的な部分が刺激されるという側面も否定できません。これらはすべて脳の働きによるものであり、異常なことではありません。
実際に生理中にムラムラする女性の割合(一般傾向としての解説)
「こんな風に感じるのは私だけ?」という不安を持つ方のために、一般的な傾向について触れておきましょう。女性のセクシュアリティに関する様々なアンケート調査や統計(地域や調査対象により数値は異なります)によると、生理中や生理直前に性欲が高まると回答する女性は、全体の約4割から6割程度にのぼるというデータが散見されます。つまり、約半数の女性が同様の経験をしているということです。
もちろん、生理痛が重すぎて性欲どころではないという方もいれば、経血の不快感が勝るという方もいます。個人差が非常に大きい領域ですが、「生理中にムラムラする」という現象自体は、決してマイノリティではありません。多くの女性が口に出さないだけで、密かに抱えている「あるある」の一つなのです。数字として多くの仲間がいることを知れば、自分の身体反応をよりフラットに受け入れられるのではないでしょうか。
生理中のムラムラを解消するメリットとデメリット【医学的視点】
生理中の性的なオーガズムは、単なる快楽の追求だけでなく、身体にとって良い影響を与える場合もあれば、無視できないリスクも存在します。ムラムラした気持ちを解消するかどうかを決める前に、医学的な視点からのメリットとデメリットを正しく理解しておくことが重要です。
一般的に、適切な衛生管理のもとで行われる自慰行為などであればメリットを享受しやすいですが、パートナーとの性行為となると感染症などのリスクが高まります。ここでは、生理中の性欲解消が身体にもたらすプラス面とマイナス面を整理しました。これらを天秤にかけ、今の自分の体調や状況に合わせて最適な判断を行ってください。
メリット:オーガズムによる子宮収縮で「生理痛」が緩和される可能性
生理中にオーガズムに達することの最大のメリットとして、生理痛の緩和が期待できる点が挙げられます。オーガズムを感じると、子宮は急速かつリズミカルに収縮を繰り返します。この収縮運動によって、子宮内に溜まっていた経血の排出がスムーズになり、結果として生理期間が短縮されたり、うっ血が解消されたりする可能性があります。
また、オーガズムに達した直後、脳内では「エンドルフィン」という神経伝達物質が分泌されます。エンドルフィンは「脳内麻薬」とも呼ばれ、強力な鎮痛作用と多幸感をもたらすことで知られています。この天然の鎮痛物質が作用することで、重い生理痛や頭痛、腰痛などが一時的に和らぐケースがあります。ただし、効果には個人差があり、逆に収縮が刺激となって痛みを増す場合もあるため、自分の体調を見ながら判断することが大切です。
メリット:ストレス解消と睡眠の質向上による体調管理
生理中はホルモンバランスの乱れや身体的な不快感から、自律神経が乱れやすく、不眠やイライラに悩まされる女性が多くいます。性的な解消行動によってオーガズムを得ることは、副交感神経を優位にし、心身を深いリラックス状態へと導く効果があります。
さらに、オーガズム後には「オキシトシン」や「ドーパミン」といった幸せホルモンが分泌され、ストレスレベルを下げる働きをします。これにより、生理中特有の情緒不安定さが和らぎ、寝つきが良くなったり、睡眠の質が向上したりすることが期待できます。良質な睡眠は体の回復を早め、免疫力を維持するためにも重要です。生理中の不快な気分をリフレッシュし、精神的な安定を取り戻す手段として、適切な性欲処理は有効なセルフケアの一つと言えるでしょう。
デメリット:免疫力低下による感染症リスクの高まり
一方で、生理中の性行為や自慰行為には明確なデメリットも存在します。最も注意すべき点は、感染症リスクの増大です。生理中の女性の体は、経血を排出するために子宮口が普段よりも開いた状態になっています。そのため、外部から細菌やウイルスが子宮内部に侵入しやすい環境になっています。
さらに、普段は酸性に保たれ雑菌の繁殖を防いでいる膣内ですが、血液(アルカリ性)が存在することで膣内のpHバランスが崩れ、自浄作用が低下しています。この状態で不衛生な手や器具、あるいはパートナーの性器が触れると、細菌性膣炎やカンジダ、さらには性感染症(STD)にかかるリスクが通常時よりも格段に高まります。また、血液自体が細菌の栄養源となり繁殖を助長するため、普段以上に厳格な衛生管理が求められます。
デメリット:経血の逆流や子宮内膜症リスクへの懸念について
医学的な議論が続いている分野ではありますが、生理中の性行為によって「経血の逆流」が起こる可能性を指摘する声もあります。通常、経血は膣を通って体外へ排出されますが、性行為による物理的なピストン運動や強い子宮収縮によって、経血が卵管を通って腹腔内へと逆流してしまう現象です。
この経血の逆流が、子宮内膜症の原因の一つになるのではないかという説があります(※現時点では確定的な要因とは断定されていませんが、リスク因子の一つとして考慮されています)。子宮内膜症は激しい生理痛や不妊の原因となる厄介な疾患です。特に、挿入を伴う激しい性行為は子宮への物理的刺激が強いため、子宮内膜症のリスクを少しでも減らしたいと考えるならば、生理中の深い挿入は控える、あるいは挿入自体を避けるのが賢明な判断と言えるでしょう。
誰にもバレずにスッキリ!生理中のムラムラを「一人」で解消する方法
パートナーがいなくても、あるいはパートナーには言えない場合でも、ムラムラして眠れない夜はあるものです。むしろ、感染症リスクや衛生面を考慮すると、生理中の性欲処理は「一人」で行うほうが安全かつ衛生的であり、推奨される場合が多いです。誰にも気を遣わず、自分のペースで、かつ部屋や寝具を汚さずに処理する方法を知っておくことは、生理期間を快適に過ごすためのライフハックと言えます。
ここでは、最も衛生的で後片付けも簡単な方法を中心に、一人で安全にムラムラを解消するための具体的な手順とポイントを紹介します。ポイントは「清潔さの確保」と「膣内への侵入を防ぐこと」の2点です。
最も衛生的!「お風呂場・シャワー中」でのセルフプレジャー
生理中の自慰行為を行う場所として、最も推奨されるのは「お風呂場(バスルーム)」です。経血が流れ出てもすぐにシャワーで洗い流せるため、シーツや下着を汚す心配が一切ありません。また、常に温かいお湯で体を温めながら行えるため、生理痛の緩和やリラックス効果も同時に得やすく、理にかなった環境と言えます。誰にも邪魔されず、プライバシーが守られやすい点も大きなメリットです。
シャワーヘッドを活用したクリトリス限定刺激のコツ
お風呂場での解消法として人気が高いのが、シャワーヘッドの水圧を利用したクリトリスへの刺激です。指を使わずに済むため、手についた雑菌をデリケートゾーンに持ち込むリスクを減らすことができます。方法は簡単で、シャワーの水流を弱め〜中程度に設定し、クリトリス周辺に当てるだけです。ただし、強い水圧を直接膣口に当てると、水が膣内に入り込み、不衛生な水道水とともに雑菌を押し込んでしまう危険性があります。あくまで「クリトリス周辺」への表面的な刺激に留め、膣内への直接噴射は絶対に避けてください。
湯船には浸からないほうが良い理由(衛生面)
お風呂場での行為は推奨されますが、「湯船に浸かりながら」行うことは避けたほうが良いでしょう。生理中は子宮口が開いているため、湯船のお湯が膣内に入り込みやすくなっています。家庭の浴槽であっても、お湯の中には大腸菌や雑菌が含まれている可能性があります。これらが子宮内に入り込むと、子宮内膜炎などの感染症を引き起こす原因になりかねません。また、温まりすぎて出血量が増えることもあります。生理中の自慰行為は、湯船ではなく、洗い場でシャワーを使用しながら行うのが鉄則です。
ベッドで行う場合は「防水シート」や「バスタオル」の準備が必須
どうしてもベッドや布団の上でリラックスして行いたい場合は、経血漏れ対策を万全にする必要があります。生理用ナプキンを当てたままであれば問題ありませんが、直接刺激する場合は、必ずお尻の下に厚手のバスタオルや、市販の「防水シーツ(おねしょシーツや介護用シーツの流用も可)」を敷きましょう。色は経血が目立ちにくい濃い茶色や紺色がおすすめです。また、近くにウェットティッシュや替えのナプキン、ゴミ袋を用意しておくと、事後の処理がスムーズになり、リラックスした状態を維持したまま眠りにつくことができます。
膣内には指や物を入れない「クリトリス限定」が推奨される理由
場所に関わらず、生理中の自慰行為において最も重要なルールは「膣内に指や物を入れないこと」です。前述の通り、生理中の膣内はデリケートで感染症にかかりやすい状態です。爪の間にある雑菌が膣内に入ると、炎症を起こすリスクが高まります。また、挿入刺激によって子宮が強く収縮し、経血量が一気に増えたり、痛みが強くなったりすることもあります。生理中のムラムラ解消は、基本的に「クリトリスへの外的刺激のみ」で行うのが医学的にも安全であり、推奨されるスタイルです。挿入欲求がある場合でも、生理期間中は我慢しましょう。
生理中のデリケートゾーンに優しいおすすめのグッズやローション
もしグッズを使用する場合は、完全防水で丸洗いが可能なシリコン製のバイブレーターなど、衛生管理がしやすいものを選びましょう。使用前後は必ず抗菌石鹸で洗浄し、清潔を保つことが絶対条件です。また、生理中は血液があるため潤滑しているように感じますが、実際にはホルモンの関係で粘膜が乾燥しやすくなっている場合もあります。摩擦による傷を防ぐために、水溶性のローションを使用することをおすすめします。ただし、洗い流しやすいタイプを選び、油性ローションやマッサージオイルは感染症リスクを高めるため避けてください。
パートナーと生理中にセックスする場合の必須マナーと注意点
生理中のセックスは、感染症リスクや衛生面から推奨しない医師も多いですが、お互いの合意があり、十分な対策を行うのであれば不可能ではありません。しかし、普段と同じような感覚で行うのは非常に危険であり、マナー違反でもあります。パートナーとの関係を良好に保ち、お互いの健康を守るためには、普段以上の配慮と準備、そして何よりも「事前の話し合い」が不可欠です。
ここでは、もしパートナーと生理中に行為に及ぶ場合に、最低限守るべきマナーと、医学的な観点からの注意点を解説します。男性側への伝え方も含めて参考にしてください。
妊娠の可能性はゼロではない!生理中でも「避妊」が絶対必要な理由
「生理中だから妊娠しない(中出ししても大丈夫)」というのは、非常に危険な誤解です。精子の生存期間は膣内で数日間(最長で1週間程度)続くことがあり、一方で女性の排卵周期もストレスや体調によってズレることがあります。特に生理周期が短い方や不規則な方の場合、生理の終わりかけにしたセックスの精子が生き残っている間に排卵が起こり、妊娠に至るケースは珍しくありません。望まない妊娠を防ぐためにも、生理中であっても避妊は絶対に行う必要があります。これは生理中のセックスにおける大前提のルールです。
男性へのエチケット!経血を見せない・触れさせない工夫と事前の同意
男性の中には「血を見るのが怖い」「不潔だと感じる」という方も多くいます。生理中であることを隠して行為に及び、途中で出血に気づかれると、パートナーにトラウマを与えたり、その後の関係がギクシャクしたりする原因になります。必ず行為の前に「今は生理中であること」を伝え、相手の同意を得ることが重要です。「今は生理中だけど、少し触れ合いたい」と正直に伝えましょう。もし相手が難色を示したら、無理強いは禁物です。また、部屋の明かりを暗くする、汚れてもいいタオルを敷くなど、視覚的なショックを和らげる配慮も女性側のエチケットと言えます。
感染症(STD)予防のためのコンドーム着用の徹底
避妊の観点だけでなく、感染症予防の観点からもコンドームの着用は「必須」です。生理中は血液を介して、HIV(エイズ)やB型・C型肝炎などの血液感染する病気のリスクが跳ね上がります。また、男性側の性器に付着している雑菌が子宮内に入り込むリスクも防がなければなりません。お互いの健康を守るために、「生理中だからこそ、普段以上に厳重にコンドームをつける」という意識を共有してください。コンドームなしの生理中セックスは、医学的に見てあまりにハイリスクです。
「浅めの挿入」や「愛撫中心」など身体への負担が少ない体位と楽しみ方
生理中は子宮が敏感になっており、深い挿入は痛みを伴うことがあります。また、激しいピストン運動は経血の逆流リスクを高めるため避けるべきです。パートナーと楽しむ場合でも、挿入は浅めにするか、あるいは挿入自体を行わず、手や口を使った愛撫を中心にするのが賢明です。体位としては、腰の下にクッションを敷いた正常位や、横向きで抱き合う側臥位(スプーンスタイル)などは、比較的身体への負担が少なく、お互いの密着度も高まるためおすすめです。激しい運動ではなく、スキンシップによる安心感を重視したセックスを心がけましょう。
シーツを汚さないための準備リスト(濃い色のタオル・ウェットティッシュ等)
行為後の後始末でムードを壊さないよう、事前の準備は完璧にしておきましょう。以下のアイテムを枕元や手の届く範囲に用意しておくことを推奨します。
- 濃い色のバスタオル:シーツの上に敷く用。赤や茶色、紺色など血液が目立たない色がベスト。
- ウェットティッシュ・清浄綿:行為後すぐに手や局部を拭くため。
- ティッシュペーパー(箱):多めに用意。
- ゴミ袋:使用済みのコンドームやティッシュをすぐに捨てるため。
- 飲み物:行為後の水分補給用。
また、可能であればシャワー室の近くで行い、終わったらすぐに二人でシャワーを浴びられる動線を確保しておくとスムーズです。
これだけは避けて!生理中のムラムラ解消におけるNG行動
一時の快楽のために健康を損なってしまっては本末転倒です。生理中の体は非常にデリケートであり、普段なら問題ない行動でも大きなトラブルに繋がることがあります。ここでは、生理中のムラムラ解消において、医学的見地から「絶対にやってはいけない」NG行動を警告します。将来の自分の体、そして妊娠機能などを守るためにも、以下の点は必ず遵守してください。
タンポンを入れたままの性行為や自慰行為の危険性
タンポンを挿入した状態での性行為(挿入)や、指を入れる自慰行為は極めて危険ですので絶対にやめてください。性器の挿入によってタンポンが膣の奥深くまで押し込まれてしまい、自分では取り出せなくなる事故が多発しています。最悪の場合、婦人科で処置を受ける必要があります。さらに恐ろしいのは、長時間取り出せなくなることで雑菌が繁殖し、「トキシックショック症候群(TSS)」という急性の敗血症を引き起こすリスクがあることです。TSSは高熱や発疹、血圧低下を招き、命に関わることもあります。行為の前には必ずタンポンを抜くことを忘れないでください。
不衛生な手や器具での接触による細菌性膣炎のリスク
洗っていない手、爪が伸びた状態、あるいは洗浄が不十分な大人のおもちゃを使用してデリケートゾーンに触れることは、生理中は厳禁です。生理中の膣内はバリア機能が低下しており、普段なら免疫で撃退できるレベルの細菌でも、簡単に繁殖してしまいます。これにより、細菌性膣炎や骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、悪臭のあるおりものや下腹部痛の原因となります。ひどい場合は卵管炎などを引き起こし、将来の不妊に繋がる可能性もあります。「清潔」は生理中の性における最優先事項です。
出血量が多い日(2日目など)の無理な性行為
生理の2日目など、経血量がピークに達している時期の性行為は、物理的にも衛生的にも避けるべきです。出血量が多いため、どんなに対策をしてもシーツや部屋を汚すリスクが高く、お互いに不快な思いをする可能性が高いです。また、出血が多い時期は子宮の収縮も激しく、体力的にも貧血気味で消耗しています。このような時期に無理に性行為を行うと、体調不良が悪化したり、貧血で倒れたりすることもあります。ムラムラしたとしても、ピーク時は安静にし、出血が落ち着いてくる4日目以降や終わりかけにするなど、タイミングを見極める自制心も大切です。
生理中のムラムラに関するよくある質問(FAQ)
生理中の性欲や行為に関しては、親しい友人にも相談しにくく、ネット上の情報も錯綜しているため、正しい判断に迷うことが多いものです。ここでは、生理中のムラムラに関してよく寄せられる質問に対し、医学的かつ一般的な観点からQ&A形式で回答します。
Q. 生理中にオナニーをすると経血量は増えますか?
A. 一時的に増えるように感じることがあります。オーガズムによって子宮が収縮するため、子宮内に溜まっていた経血が押し出され、直後の排出量が増えることがあるからです。しかし、これは体内の総出血量が増えたわけではなく、排出のペースが早まっただけと考えられます。結果的に、生理期間が少し短く終わるように感じる方もいます。
Q. ムラムラして眠れない時の性的なこと以外の対処法は?
A. 自律神経を整えるアクションが有効です。ぬるめのお湯にゆっくり浸かる、ホットミルクやハーブティー(カモミールなど)を飲む、軽いストレッチやヨガを行うなどがおすすめです。骨盤周りの血流を良くし、副交感神経を優位にすることで、性的衝動以外のリラックス感を得て眠りにつきやすくなります。
Q. ピルを服用していると生理中の性欲に変化はありますか?
A. 個人差があります。低用量ピルは排卵を抑制しホルモンバランスを一定に保つため、PMSによる感情の起伏や性欲の波が穏やかになる方が多いです。その結果、休薬期間(消退出血中)のムラムラも減る場合がありますが、一方で「妊娠の心配がない」という安心感から性欲が増すという方もいます。
Q. 生理中の臭いが気になりますが、対策はありますか?
A. 経血自体は無臭ですが、空気に触れて酸化したり雑菌が繁殖したりすることで臭いが発生します。行為の直前にシャワーを浴びてビデで外陰部を優しく洗うことが最も有効です(膣内洗浄のしすぎは逆効果なので避けてください)。また、部屋の換気を良くし、アロマなどを焚くのも心理的な安心感に繋がります。
Q. 男性は生理中の女性から誘われることをどう思いますか?
A. こればかりは相手の性格や価値観によります。「生理中でも求めてくれるのは嬉しい」とポジティブに捉える男性もいれば、「血が苦手」「衛生面が気になる」と拒否反応を示す男性もいます。独りよがりにならず、事前に「生理中だけど大丈夫?」と確認することが大切です。相手が難色を示したら、手や口での奉仕など、挿入以外の方法を提案するのも一つの手です。
まとめ:生理中のムラムラは自然な現象!清潔と安全を守って上手に向き合おう
生理中に性欲が高まり、ムラムラしてしまうことは、ホルモンバランスの変化や骨盤内の充血などに基づく、女性としてごく自然で正常な生理現象です。決して恥ずかしいことでも、異常なことでもありません。まずは「自分の体は正常に機能しているのだ」と、その感覚を肯定してあげてください。
その上で、その欲求をどう解消するかは、あなたの体調と環境次第です。生理痛の緩和やリラックス効果といったメリットがある一方で、感染症リスクなどのデメリットも存在します。一人で解消する場合も、パートナーと楽しむ場合も、「衛生管理(清潔さ)」と「安全対策(避妊・感染予防)」を最優先にすることが、自分の体を守ることに繋がります。
無理に我慢してストレスを溜める必要はありませんが、リスクを冒してまで行う必要もありません。本記事で紹介した安全な方法や注意点を参考に、生理期間中の自分の体と心に、優しく上手に向き合ってみてください。