
夫婦が別居することになった場合、住居の問題は大きな課題となります。特に新たに住宅ローンを組もうとしたとき、別居中という状況が審査に大きく影響することをご存知でしょうか?
別居中の住宅ローン審査は通常よりも厳しく、多くの人が思わぬ壁にぶつかります。「安定した収入があるのに、なぜ審査に通らないの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、別居中に住宅ローン審査が通らない主な理由と、審査を通過するための具体的な対策をわかりやすく解説します。別居中の住宅購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
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目次
別居中に住宅ローン審査が通らない7つの理由
別居中の住宅ローン審査が厳しくなる理由はいくつかあります。まずは主な7つの理由を確認しておきましょう。
1. 返済比率の厳しさ
別居によって収入が一人分だけになると、返済比率(年収に対する毎月の返済額の割合)が厳しくなります。一般的に金融機関は、年収の35%程度を毎月の返済限度額と設定しています。
たとえば、年収400万円の場合:
400万円×35%÷12ヶ月=11.7万円(月々の返済限度額の目安)
この金額から既存の自動車ローンやキャッシング、クレジットカードのリボ払いなどの支払い額を差し引いた残りが、新規の住宅ローンで借りられる限度額になります。別居で収入が減少すると、当然借入可能額も減るわけです。
2. 一人二つの住宅ローンは高リスク判定される
別居中に新たな住宅を購入する場合、既存の住宅ローンと新規の住宅ローンを同時に抱えることになります。これは「二重ローン」状態であり、金融機関はこれを非常に高リスクと判断します。
実際、ある事例では、安定した収入がある公務員でさえ「勘弁してほしい」と銀行から断られたケースもあります。金融機関にとって、一人の借り手が二つの住宅ローンを抱えることは、返済不能リスクが高いと判断されるのです。
3. 連帯債務・ペアローンの問題
別居前に夫婦で連帯債務やペアローンを組んでいる場合、さらに複雑な問題が発生します。たとえ別居していても、連帯債務者としての返済責任は継続します。
住宅ローンの支払いが月12万円で、持分が夫婦で5:5の場合、妻の支払い義務は6万円となります。別居期間が2年に及ぶと、夫が立て替えていた妻の支払い分(6万円×24ヶ月=144万円)を請求される可能性もあります。
これは経済的な負担を大きく増やすリスクであり、金融機関は新たな住宅ローンの審査において、この潜在的なリスクも考慮します。
4. 信用情報への影響
別居中、特に離婚調停中などは精神的に不安定になりがちで、既存の住宅ローンの返済が遅れる可能性もあります。返済が滞ると、信用情報機関に延滞情報が記録され、個人の信用スコアが低下します。
信用情報は住宅ローン審査の重要な判断材料であり、延滞記録があると審査が厳しくなるだけでなく、条件が悪くなったり、最悪の場合は審査に通らなかったりすることもあります。
5. 住民票移動による契約違反リスク
別居すると住民票を移動するケースが多いですが、これが住宅ローンの契約違反となるリスクがあります。住宅ローンは基本的に「契約者本人が対象物件に居住する」ことを前提としているからです。
住民票を別の住所に移してしまうと、金融機関から契約違反と見なされ、一括返済を求められる可能性があります。これにより新たな住宅ローンを組む際に大きな障壁となります。
6. 健康状態の問題
意外と見落とされがちですが、住宅ローンの審査では健康状態も重要な要素です。離婚や別居の過程でのストレスにより、睡眠薬の服用や心身の不調を抱えるケースも少なくありません。
住宅ローンを組む際には団体信用生命保険への加入が原則必要ですが、健康状態によっては加入できない場合があります。その結果、住宅ローン自体が組めなくなることもあるのです。
7. 対応金融機関の限定
別居中や離婚前提での住宅ローンの借り換えや新規契約に対応している金融機関は限られています。多くの銀行は離婚や別居による住宅ローンの借り換えや名義変更に消極的であり、選択肢が狭まるのです。
フラット35のような、返済比率のみを基準とする商品でなければ審査通過が難しいケースも多く、金利や条件面で不利になることも少なくありません。
別居状態の住宅ローン名義問題(単独vs共有名義)
別居中の住宅ローンでは、名義の問題が大きく影響します。名義のタイプによって直面する問題やリスクは異なります。
単独名義の場合
住宅ローンが夫または妻のどちらか一方の単独名義である場合、契約者本人に返済義務があります。別居や離婚後も、ローンの支払いは名義人が責任を持って行う必要があります。
ただし、名義人が家を出て別居する場合には注意が必要です。住宅ローンは自身が居住する住宅の購入資金をカバーするものなので、ローン契約者本人が家を出て住民票を転居先に移すと、契約違反となる可能性があります。
また、名義人では無い配偶者が住み続ける場合、名義人が支払いを滞納すると、住み続けている配偶者は強制退去のリスクを抱えることになります。
共有名義の場合
住宅ローンが夫婦の共有名義の場合、主に以下の3つのパターンがあります:
- 連帯保証型:契約者の返済が滞った際に保証する契約形態。保証人は家の持分を持たず、毎月の返済義務もありません。
- 連帯債務型:連帯債務者として契約者と共に毎月返済を行う契約形態。返済額に応じた持分を取得できます。
- ペアローン:夫婦が別々の住宅ローンを契約する形態。各自が返済負担を負い、返済額に応じた持分を取得します。
共有名義の場合、どちらか一方が単独で家を売却することはできません。両者の合意が必要です。また、一方が返済を滞納すると、住んでいる側が返済を継続していても、住居が差し押さえられるリスクがあります。
離婚する場合は、住宅ローンを単独名義に切り替えるのが望ましいですが、これには金融機関の審査が必要です。住み続ける側の収入が十分かどうかが重要なポイントとなります。
既存の住宅ローンが新規審査に与える影響
別居中に新たな住宅ローンを検討する際、既存の住宅ローンが審査に大きく影響します。その主な理由を見ていきましょう。
二重ローンのリスク評価
金融機関は、一人の借り手が二つの住宅ローンを抱えることに非常に慎重です。これは「二重ローン」と呼ばれる状態であり、返済不能リスクが高いと評価されます。
既に住宅ローンがある状態で別の住宅ローンを申し込むと、金融機関は総返済負担率を厳しくチェックします。たとえ安定した職業に就いていても、二重ローンのリスクから審査が厳しくなるのです。
返済能力の再評価
別居によって世帯収入が変化すると、返済能力も再評価されます。共働きから一人の収入になることで、返済能力が低くなったと判断されるケースが多いです。
たとえば、夫婦合わせて年収800万円だった家庭が別居により片方の400万円の収入になると、借入可能額は大幅に減少します。さらに既存の住宅ローンの負担があると、新たなローンの借入可能額はさらに制限されます。
名義変更の難しさ
既存の住宅ローンの名義変更は基本的にできません。住宅ローンを契約する際には審査を受けますが、審査を受けていない人への名義変更は原則として認められないからです。
別居や離婚で住む人が契約者でなくなる場合、新たに住宅ローンを借り換えて返済する方法を取る必要があります。この借り換えも金融機関の審査が必要で、借り換える人の収入や信用状況によっては難しい場合もあります。
借り換えの条件
別居中の住宅ローン借り換えには、いくつかの条件があります:
- 物件の所有権を借り換えする人の単独名義(または父母・子との共有名義)にすること
- 借り換えする人がマイホームとして実際に住む不動産であること
- 離婚協議書等の離婚する前提であることを証明するコピーを提出すること
これらの条件を満たさない場合、借り換え自体が難しくなります。また、離婚や別居による住宅ローン借り換えに対応している金融機関も限られているため、選択肢が狭まる傾向にあります。
別居中の住宅ローンで注意すべき5つのポイント
別居中の住宅ローンには、特有のリスクや注意点があります。以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
1. 住宅ローンの滞納による強制退去リスク
別居して家に住み続ける方が住宅ローンを支払っていない場合、名義人である配偶者が支払いを止めると強制退去リスクがあります。滞納が続くと、段階を踏んで裁判所より競売にかけられる通知が届き、最終的には強制退去に至る可能性があります。
このリスクを避けるためには、住宅ローンの支払いが確実に続けられる体制を作るか、名義変更や借り換えを検討する必要があります。
2. 住民票移動による契約違反と控除対象外のリスク
別居で住民票を移動すると、住宅ローン契約違反となるリスクがあるだけでなく、住宅ローン控除の対象外になる可能性もあります。
住宅ローン控除の要件には「新築又は取得の日から6か月以内にマイホームとして住み、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」というものがあります。別居で住民票を移すと、この条件を満たさなくなり、税制上の大きなメリットを失うことになります。
3. 婚姻費用と住宅ローンの関係
別居中は婚姻費用(生活費)を収入の多い側が少ない側に支払う義務があります。住宅ローンの支払いもこの婚姻費用に関係してきます。
住宅ローンの名義人である夫が家を出て妻が住み続ける場合、夫が住宅ローンを支払うことで婚姻費用の一部を支払っていると見なされ、別途支払う婚姻費用が減額される可能性があります。一般的に住宅ローン総額の2〜3割程度が婚姻費用から控除されるケースが多いようです。
4. 連帯債務の持分による請求リスク
連帯債務で住宅ローンを組んでいる場合、別居後も持分に応じた支払い義務が残ります。別居期間が長期化すると、支払いを続けている側から持分相当額を一括請求される可能性があります。
例えば、月々の住宅ローン支払いが12万円で持分が5:5の場合、2年間の別居で妻の負担分6万円×24ヶ月=144万円を夫から請求される可能性があります。これは予想外の大きな負担になりかねません。
5. 健康状態による団体信用生命保険の加入制限
離婚や別居のストレスにより精神的・身体的な健康状態が悪化すると、新たな住宅ローンを組む際に必要な団体信用生命保険に加入できない場合があります。
フラット35では団体信用保険が任意となっていますが、子どもへの影響を考えると団信なしでの契約は避けたほうが無難です。健康状態に不安がある場合は、事前に保険加入の可能性を確認しておくと良いでしょう。
別居中でも住宅ローン審査に通るための対策法
別居中に住宅ローンを組むのは難しいものの、いくつかの対策を講じることで審査通過の可能性を高めることができます。
フラット35の活用
通常の銀行では一人で二つの住宅ローンを持つことにリスクを感じて承認が難しいケースでも、フラット35であれば返済比率が合えば審査に通りやすい傾向があります。
フラット35は返済比率を重視する審査基準であり、二重ローンであっても収入に対する返済負担が一定範囲内であれば融資を受けられる可能性があります。別居中の住宅ローンを検討する際は、まずフラット35を第一候補として検討するのがおすすめです。
家を売却して住宅ローンを完済
既存の住宅ローンが新規ローンの審査に悪影響を及ぼす場合、家を売却して住宅ローンを完済するのも一つの選択肢です。特に以下のようなケースでは有効な方法といえます:
- どちらか一方が連帯保証人になっている場合
- 夫婦で連帯債務者になっている場合
住宅ローンが完済されれば、信用情報上のリスクも解消され、新たな住宅ローンの審査にも有利に働きます。ただし、売却によって住宅ローンの残債を完済できるかどうかは物件価値によります。
借り換えによる名義変更
住宅ローンの名義変更自体はできませんが、借り換えによって実質的な名義変更と同様の効果を得ることができます。住み続ける側が新たに住宅ローンを組んで、既存のローンを完済する形です。
借り換えが認められるためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 物件の所有権を借り換えする人の単独名義(または父母・子との共有名義)にすること
- 借り換えする人がマイホームとして住む不動産であること
- 離婚協議書等の離婚する前提であることを証明するコピーを提出すること
これらの条件を満たし、かつ借り換えする人の収入や信用状況が審査基準を満たせば、名義変更が可能となります。
金融機関への事前相談
別居や離婚を前提に住宅ローンの変更を検討する場合は、必ず事前に金融機関に相談しましょう。契約者が住居を別にして住民票を移すと、住宅ローン契約違反となり一括返済を求められるリスクがあります。
家庭の事情を説明し、返済計画や返済期間の見直しを提案することで、一括返済を回避できる可能性があります。金融機関との信頼関係を保つためにも、状況の変化は早めに相談するのが賢明です。
収入証明の工夫
住宅ローン審査では安定した収入が重要なポイントです。別居中は収入が減少するケースが多いですが、以下のような工夫で収入証明を強化できる場合があります:
- 前年の収入が良好であれば、源泉徴収票や確定申告書を活用する
- ボーナスがある場合は、年収に含めて計算してもらう
- 副業や不動産収入などがあれば、それも含めて総合的な収入を示す
ただし、虚偽の申告は絶対に避けましょう。正確な情報を基に、自分の返済能力を最大限アピールすることが大切です。
まとめ:別居中の住宅ローン審査を乗り切るために
別居中の住宅ローン審査は通常よりも厳しいものの、適切な対策を講じることで乗り越えることは可能です。最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。
別居中に住宅ローン審査が通らない主な理由
- 返済比率の厳しさ(収入が一人分になる)
- 一人で二つの住宅ローンは高リスクと判断される
- 連帯債務・ペアローンの場合の責任とリスク
- 信用情報への悪影響が審査に響く
- 住民票移動による契約違反リスク
- 健康状態による団体信用生命保険加入の問題
- 対応金融機関が限られる
審査を通すための対策
- フラット35など返済比率重視の住宅ローンを検討する
- 可能であれば既存の住宅を売却し、ローンを完済する
- 借り換えによる名義変更を検討する
- 事前に金融機関に相談し、状況を説明する
- 収入証明を工夫し、返済能力をアピールする
- 専門家(FP、弁護士など)に相談して最適な戦略を立てる
別居中の住宅ローンは複雑な問題ですが、計画的に対処することで解決への道は開けます。収入状況や既存ローンの状態、将来的な生活設計を総合的に考慮し、無理のない選択をすることが大切です。
特に別居中に新たな住宅ローンを検討する場合は、早めの情報収集と専門家への相談を心がけましょう。そして、何よりも自分の返済能力を正確に把握し、将来的に無理のない返済計画を立てることが、住宅ローン審査を乗り切るための最大のポイントです。
住宅ローンの審査に不安がある方は、まずは住宅ローン専門のFPや金融機関に相談してみることをおすすめします。あなたの状況に合った最適な解決策が見つかることを願っています。