
「マイホーム購入のために住宅ローンを申し込んだけど、審査に落ちてしまった…」
このような経験をされた方の中には、「もしかして妻(配偶者)の借金や信用情報が原因かも?」と心配される方も少なくありません。
実は、住宅ローンの審査に配偶者(妻)の情報が影響するかどうかは、ローンの組み方によって大きく異なります。「基本的には影響しない」というケースもあれば、「大きく影響する」というケースもあるのです。
私は10年以上、住宅ローンアドバイザーとして多くのご夫婦の住宅購入をサポートしてきました。その経験から言えるのは、住宅ローン審査における配偶者の影響について正しく理解しておくことで、審査に通るための適切な対策を取ることができるということです。
この記事では、配偶者(特に妻)の借金や信用情報が住宅ローン審査に与える影響について、以下のポイントを詳しく解説していきます。
- 配偶者(妻)の借金が住宅ローン審査に影響するケースと影響しないケース
- 住宅ローンの審査で実際に見られる項目
- 配偶者に借金があっても審査に通るための具体的な対策
- 知っておくべき個人信用情報と信用情報機関について
これからマイホーム購入を考えているご夫婦は、ぜひ参考にしてください。
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目次
配偶者(妻)の借金が住宅ローン審査に影響しないケース
結論から言うと、申込人が単独で住宅ローンを組む場合、配偶者(妻)の借金や信用情報は基本的に審査に影響しません。
単独申込みの場合
住宅ローンを夫(または妻)の単独名義で申し込む場合、金融機関は申込者本人の情報のみを審査対象とします。つまり、夫が申込者なら夫の情報のみが、妻が申込者なら妻の情報のみが審査されるのです。
例えば、夫が単独で住宅ローンを申し込む場合、仮に妻に消費者金融からの借金があったり、過去にクレジットカードの支払いを延滞したりしていても、それは審査に影響しません。金融機関は基本的に申込者本人以外の信用情報を照会することはないからです。
「えー、そうなの?でも妻のことも調べられてるんじゃ…」と思うかもしれませんが、これは信用情報機関のシステム上の制約でもあります。個人の信用情報は本人確認を経た正当な理由がないと照会できないように保護されているのです。
銀行が実際に審査で見ているポイント
単独申込みの住宅ローン審査において、銀行が実際に見ているのは以下のようなポイントです:
- 申込者本人の年収と返済計画の妥当性
- 申込者本人の勤務先や勤続年数による収入の安定性
- 申込者本人の信用情報と過去の返済履歴
- 購入する物件の価値と担保としての適性
つまり、夫が住宅ローンを申し込む場合は夫の情報のみが、妻が申し込む場合は妻の情報のみが審査対象となるのです。
しかし、次に説明するようなケースでは、配偶者(妻)の借金や信用情報も審査に影響してきます。
配偶者(妻)の借金が住宅ローン審査に影響するケース
夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組みたい場合や、より有利な条件で借り入れたい場合など、いくつかのケースでは配偶者(妻)の情報も審査対象となります。
収入合算を利用する場合
収入合算とは、夫婦の収入を合わせて住宅ローンの審査を受ける方法です。夫の収入だけでは希望する金額を借りられない場合に、妻の収入も加えることで借入可能額を増やすことができます。
例えば、夫の年収が400万円で、希望する住宅ローンが3,000万円だとします。一般的な金融機関の基準では借入可能額は年収の7〜8倍程度なので、夫の収入だけでは2,800〜3,200万円が限度です。ここに妻の年収300万円を合算すると、合計700万円となり、借入可能額は4,900〜5,600万円に増加します。
しかし、収入合算を利用する場合、妻も審査対象となるため、妻に借金や信用情報の問題があると、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、妻がクレジットカードのリボ払いで多額の借金を抱えていたり、過去に支払いを延滞したりした履歴があると、収入合算の効果が減少したり、最悪の場合は審査に通らなくなったりすることもあります。
ペアローンを組む場合
ペアローンとは、夫婦がそれぞれ別々の住宅ローンを組み、合わせて1つの住宅を購入する方法です。例えば、3,000万円の物件を購入する場合、夫が1,500万円、妻が1,500万円のローンを組むといった形です。
ペアローンのメリットは、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられることや、団体信用生命保険に両方が加入できることなどがあります。
しかし、この場合も夫婦それぞれが独立して住宅ローンを組むことになるので、夫婦それぞれの信用情報や借金状況が審査されます。一方が借金を抱えていたり、信用情報に問題があったりすると、その人のローンが組めなくなり、結果として希望通りの物件が購入できなくなる可能性があります。
また、ペアローンでは一般的に夫婦がお互いの連帯保証人になることが多いため、どちらかの返済能力にも注目されます。
連帯保証人になる場合
連帯保証人とは、主債務者(この場合は夫)がローンを返済できなくなった場合に、代わりに返済する責任を負う人のことです。
配偶者(妻)が連帯保証人になる場合、妻の返済能力や信用情報も審査対象となります。連帯保証人は主債務者と同様の返済責任を負うため、妻に借金があったり、信用情報に問題があったりすると、連帯保証人としての適格性が疑われ、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、最近では保証会社を利用することで、配偶者を連帯保証人にしなくても住宅ローンを組めるケースが増えています。
連帯債務でローンを組む場合
連帯債務とは、夫婦が共同で1つの住宅ローン契約を結び、それぞれが債務者となる方法です。連帯債務では、夫婦の収入を合算した上で、1つのローン契約を結びます。
連帯債務のメリットとしては、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられることや、諸費用が1契約分で済むことなどがあります。デメリットとしては、原則として団体信用生命保険にはどちらか一方しか加入できないことなどが挙げられます。
この場合も、夫婦両方が債務者となるため、夫婦それぞれの借金状況や信用情報が審査対象となります。どちらかに問題があれば、審査が通らなかったり、借入条件が悪くなったりする可能性があります。
それぞれの方式のメリット・デメリット
以下に、各方式のメリットとデメリットをまとめてみました:
方式 | メリット | デメリット |
---|---|---|
単独申込み | ・配偶者の信用情報に影響されない ・手続きがシンプル | ・借入可能額が申込者の収入に限られる ・住宅ローン控除も申込者のみ |
収入合算 | ・借入可能額が増える ・審査が有利になる場合がある | ・配偶者の信用情報も審査対象になる ・住宅ローン控除は申込者のみ |
ペアローン | ・夫婦両方が住宅ローン控除を受けられる ・夫婦両方が団信に加入できる | ・諸費用が2契約分かかる ・夫婦両方の審査が必要 |
連帯債務 | ・夫婦両方が住宅ローン控除を受けられる ・諸費用が1契約分で済む | ・原則として団信はどちらか一方のみ ・夫婦両方の審査が必要 |
自分たちの状況に合った方式を選ぶことが大切です。特に、どちらかに借金や信用情報の問題がある場合は、どの方式が最適かを慎重に検討する必要があります。
配偶者(妻)が関与する場合の住宅ローン審査に通らない主な理由
先述のように、収入合算やペアローン、連帯保証人、連帯債務などの形で配偶者(妻)が住宅ローンに関与する場合、配偶者の情報も審査対象となります。
以下のような問題があると、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 配偶者の借入が多い
配偶者がカーローンやクレジットカードのリボ払いなどで多額の借金を抱えている場合、返済負担率が高くなり、審査に通りにくくなります。 - 配偶者の信用情報に問題がある
配偶者が過去にローンやクレジットカードの支払いを延滞していたり、債務整理をした経験があったりすると、信用情報に傷がつき、審査に悪影響を及ぼします。 - 配偶者の収入が不安定
収入合算やペアローンの場合、配偶者の収入も重要な要素です。配偶者が非正規雇用やパートタイマーなど、収入が不安定と見なされる雇用形態であると、審査が厳しくなる可能性があります。
これらの理由がある場合でも、対策を講じることで審査に通る可能性を高めることができます。後ほど具体的な対策について解説します。
配偶者に借金があっても審査に通るための対策
配偶者(妻)に借金があっても、適切な対策を講じることで住宅ローンの審査に通る可能性を高めることができます。以下に具体的な対策を紹介します。
借金の返済計画を見直す
配偶者に借金がある場合、まずは返済計画を見直しましょう。
- 延滞を解消する:現在延滞中の借金があれば、速やかに支払いを再開し、延滞を解消しましょう。住宅ローンの審査では、直近6ヶ月間の返済状況が特に重視されるため、少なくとも半年間は確実に支払いを続けることが重要です。
- 小額の借金は完済する:カードローンやクレジットカードのリボ払いなど、金額が比較的小さい借金は、可能であれば住宅ローンの申込前に完済しておくことをお勧めします。これにより、返済負担率が下がり、審査に有利に働きます。
- 借金の一本化を検討する:複数の借金がある場合、おまとめローンなどで一本化することで、総返済額を減らしたり、管理を簡素化したりできる可能性があります。ただし、新たなローンを組むことで信用情報に新規の申込履歴が残るため、住宅ローンの申込みまでに十分な時間(3〜6ヶ月程度)を確保しましょう。
金融機関への事前相談
配偶者の借金が住宅ローン審査に影響する可能性がある場合、事前に金融機関に相談することも重要です。
- 正直に状況を説明する:配偶者の借金状況や返済計画を隠さずに伝え、住宅ローンの審査に通る可能性について率直な意見を求めましょう。嘘をついて後で発覚すると、信頼を失い、審査に悪影響を及ぼします。
- 複数の金融機関に相談する:金融機関によって審査基準は異なります。特に、地域密着型の信用金庫やネット銀行などは、大手銀行と比べて柔軟な対応をしてくれる場合があります。複数の金融機関に相談し、最も条件が良いところを選びましょう。
- 住宅ローンアドバイザーに相談する:住宅ローンの専門家に相談することで、自分たちの状況に最適な住宅ローンの組み方や、審査に通るためのアドバイスを得ることができます。
ローンの組み方を検討する
配偶者に借金があると、通常の収入合算やペアローンでは審査に不利になる可能性があります。そのような場合、以下のような組み方を検討してみましょう。
- 単独申込みにする:配偶者の借金が多い場合、収入合算やペアローンを避け、借金のない方が単独で申し込むことを検討しましょう。借入可能額は減りますが、審査に通る可能性は高くなります。
- 連帯保証人を変更する:配偶者を連帯保証人にする予定だったが、借金があって難しい場合、親族(親や兄弟姉妹など)に連帯保証人になってもらうことを検討しましょう。ただし、連帯保証人になると大きな責任を負うことになるため、十分に説明した上で依頼する必要があります。
- 保証会社を利用する:最近では、多くの住宅ローンで保証会社の保証を利用することができます。保証会社を利用すれば、連帯保証人が不要になる場合もあります。
- 借入額を減らす:頭金を増やしたり、より安い物件を選んだりすることで、借入額を減らし、審査に通りやすくすることも一つの方法です。
具体的な事例と計算例
ここで、具体的な事例を通じて、配偶者の借金が住宅ローンにどう影響するかを見てみましょう。
ケース1:クレジットカードのリボ払い借金がある場合
【条件】
・夫の年収:500万円
・妻の年収:300万円
・妻のクレジットカードリボ払い残高:100万円(年利15%、月々約1.7万円返済)
・希望借入額:3,000万円
・返済期間:35年
・金利:1.5%
【収入合算した場合の影響】
・年収合算:800万円
・住宅ローン月々返済額:約8.7万円(年間約104.5万円)
・リボ払い月々返済額:1.7万円(年間約20.4万円)
・返済負担率:(104.5万円 + 20.4万円) ÷ 800万円 × 100 = 15.6%
一般的に返済負担率は25%程度までが望ましいとされるため、このケースでは15.6%と基準内に収まっています。したがって、妻にリボ払いの借金があっても、審査に大きな影響はないと考えられます。
ただし、リボ払いは長期化しやすく、高金利での借り入れとなるため、できれば住宅ローン申込前に完済しておくことが望ましいでしょう。
ケース2:車のローンが残っている場合
【条件】
・妻の年収:400万円
・夫の年収:350万円
・夫の車ローン残高:50万円(月々1万円返済)
・希望借入額:2,500万円
・返済期間:35年
・金利:1.2%
【ペアローンを組む場合の影響】
・年収合算:750万円
・住宅ローン月々返済額:約7.1万円(年間約85.2万円)
・車ローン月々返済額:1万円(年間12万円)
・返済負担率:(85.2万円 + 12万円) ÷ 750万円 × 100 = 13.0%
このケースでも返済負担率は13.0%と低いため、夫に車ローンの残債があっても審査に大きな影響はないでしょう。
しかし、車ローンは比較的金利が高いことが多いため、可能であれば住宅ローンへの借り換えを検討するのも一つの方法です。住宅ローンの方が金利が低いため、総返済額を減らすことができます。
住宅ローンと配偶者に関するよくある質問(Q&A)
最後に、住宅ローンと配偶者(特に妻)の関係についてよくある質問に答えていきます。
Q1. 配偶者(妻)がブラックリストに載っていても住宅ローンは組める?
A. 申込人単独で住宅ローンを組む場合、配偶者がブラックリストに載っていても基本的に影響はありません。金融機関は原則として申込人本人の信用情報のみを確認するためです。
ただし、収入合算やペアローン、連帯保証人、連帯債務などの形で配偶者も審査対象となる場合は、配偶者がブラックリストに載っていると審査に通らない可能性が高くなります。
このような場合は、ブラックリストの情報が消えるまで(通常5〜7年)待つか、借金のない方が単独で申し込むことを検討しましょう。
Q2. 配偶者の借金が多くても住宅ローン審査が通る銀行はある?
A. 配偶者に借金があっても、柔軟に審査を行う銀行はあります。特に地域密着型の信用金庫やネット銀行は、個別の事情を考慮した審査をしてくれる可能性があります。
例えば、配偶者の借金が計画的に返済されていて延滞がない場合や、借金の用途が明確で合理的な場合(例:教育ローン、車ローンなど)は、審査に通る可能性があります。
複数の金融機関に相談し、自分たちの状況に最も適した金融機関を選ぶことが大切です。
Q3. 連帯保証人と連帯債務者の違いは?
A. 連帯保証人と連帯債務者の主な違いは以下の通りです:
- 連帯保証人:主債務者(借入人)が返済できなくなった場合に、代わりに返済する責任を負う人です。主債務者が返済している間は返済義務はありません。住宅ローン控除は受けられません。
- 連帯債務者:借入の当初から主債務者と同等の返済責任を負う人です。主債務者と同様に住宅ローン控除を受けることができます。
特に連帯債務者の場合、住宅ローン控除のメリットがありますが、両者とも同等の審査を受けるため、どちらかに借金や信用情報の問題があると審査に通りにくくなります。
Q4. 家族の借金を金融機関に隠しても良い?
A. 家族(配偶者)の借金を隠すことはおすすめできません。以下の理由からです:
- 収入合算やペアローン、連帯保証人、連帯債務などの形式では、配偶者の信用情報も確認されるため、隠し通すことは難しい
- 万が一嘘が発覚した場合、「虚偽申告」とみなされ、審査に落ちるだけでなく、今後の融資にも悪影響を及ぼす可能性がある
- 仮に審査に通ったとしても、借金の返済と住宅ローンの返済が重なり、家計が圧迫される恐れがある
正直に状況を説明し、適切な対策を講じることが長期的には最善の選択です。
Q5. 配偶者の収入情報を提供する必要があるのはなぜ?
A. 単独で住宅ローンを申し込む場合でも、金融機関が配偶者の収入情報を求めることがあります。これには以下のような理由が考えられます:
- 申込人の実質的な返済能力を判断するため、家計全体の状況を確認したい
- 配偶者が離職や休職した場合の家計への影響を評価したい
- 保証会社の要請による場合がある
このような場合、配偶者の収入情報を提供することで、審査がスムーズに進むことが期待できます。ただし、あくまで審査の参考情報として使われることが多く、配偶者自身が審査対象となるわけではありません。
まとめ:住宅ローン審査と配偶者(妻)の関係
今回は「住宅ローン審査に通らない理由:配偶者(妻)の借金や信用情報の影響」について詳しく解説してきました。最後に重要なポイントをまとめておきましょう。
基本は「申込人のみが審査対象」
住宅ローンを申込人単独で組む場合、基本的に配偶者(妻)の借金や信用情報は審査に影響しません。金融機関は申込人本人の収入や信用情報、返済能力を見て判断します。
配偶者も審査対象になるケース
次のような場合は、配偶者も審査対象となるため、配偶者の借金や信用情報が審査結果に影響します:
- 収入合算で住宅ローンを申し込む場合
- ペアローンを組む場合
- 配偶者が連帯保証人になる場合
- 連帯債務でローンを組む場合
審査に通るための対策
配偶者に借金があっても、以下の対策を講じることで住宅ローン審査に通る可能性を高めることができます:
- 借金の返済計画を見直し、可能であれば完済する
- 延滞を解消し、少なくとも6ヶ月間は確実に支払いを続ける
- 事前に金融機関に相談し、適切なアドバイスを受ける
- 借金のない方が単独で申し込むことを検討する
- 連帯保証人を変更するか、保証会社を利用する
- 借入希望額を減らす(頭金を増やす、より安い物件を選ぶなど)
大切なのは「計画性」と「正直さ」
住宅ローンは人生で最も大きな買い物の一つです。無理のない返済計画を立て、金融機関に対して正直に状況を説明することが、長期的には最善の選択となります。
配偶者に借金があっても、それが計画的に返済されていて家計に大きな負担になっていなければ、適切な方法で住宅ローンを組むことは十分に可能です。まずは自分(と配偶者)の信用情報を確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、最適な住宅ローン計画を立てていきましょう。
マイホームの夢は、正しい知識と適切な準備があれば、必ず実現できるはずです。